TSMCの2nm技術に熱視線、テック大手がHPCとAIで先行投資

半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)はこのほど、2ナノメートル(nm)プロセス技術にすでに多くの顧客が設計を投入しており、同社史上最大規模の採用ノードの一つになる見通しを示した。半導体検査装置大手のKLAテンコールのBren Higgins(ブレン・ヒギンズ)最高財務責任者(CFO)によると、現在15社がTSMCの2nmノードに基づく設計を進めており、そのうち約10社はHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)分野の企業だという。

業界関係者によれば、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)は次世代プラットフォーム「Rubin Ultra」に2nmを導入する計画で、Advanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)もアクセラレータカード「Instinct MI450」に採用し、次世代のAI(人工知能)・HPC市場での競争に挑む見込みだ。さらに、米Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)といったクラウドサービス大手も、自社開発のAI向けASICでTSMCの2nmを選び、大規模データセンターの計算需要に対応しようとしている。

一方、スマートフォン向けの3nm生産能力はすでに米Apple(アップル)など大口顧客に押さえられており、他の設計企業は柔軟に生産を振り替えることが難しくなっている。こうした中、HPCやAI関連の注文が加速するにつれ、TSMCの生産重心は3nmから2nmへと移行しつつあり、市場再編の流れが鮮明になっている。

TSMCは2026年後半に2nmの量産を開始する計画で、各社の製品は早ければ27年に登場する見込みだ。業界では、2nmはTSMCの歴史上最も広範に採用されるノードになるとの見方が支配的で、市場ニーズの変化と同社の先端技術力を如実に示している。

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