世界のテック大手がAI投資増強、ディープシークの衝撃で=米紙

米ブルームバーグ通信によると、米国テック大手がAI(人工知能)投資の大幅な増強に向けて準備を進めている。マイクロソフト、アマゾン、メタの巨大テック企業は今年、AIデータセンターとコンピューターリソース関連の設備投資が前年比44%多い総額3710億ドル(約55兆5,544億円)になると見込んでいる。
この数字は2032年に5,250億ドルに膨れ上がる見通しで、その増強ペースは、中国のAI新興企業であるDeepSeek(ディープシーク)が注目される以前のブルームバーグ・インテリジェンスの予想をはるかに上回る。
ディープシークの衝撃は、世界のAI投資の枠組みを変えつつあり、米国のテック企業は自社のAI戦略の再考を迫られている。従来はAIモデルトレーニングに置かれていたテック大手のAI投資の焦点は、推論モデルへとシフトする見通し。
巨大テック企業のAIモデル分野への支出予算は、今年はAI投資全体の4割以上を占めるが、2032年には14%に低下する見通し。その一方で、推論モデルの投資は同年のAI支出全体の5割近くに拡大すると予想されている。
こうした戦略の転換は、業界の勢力図を塗り替える可能性がある。アナリストによると、グーグルは、AI推論と訓練を同時に行える自社開発チップを擁するため、戦略転換を速やかに完遂する能力を持つが、エヌビディア製チップへの依存度が高いマイクロソフトやメタなどの企業は、戦略の柔軟性に欠け、戦略転換のハードルは高いという。