アナログ半導体大手の業績低迷、7~9月は軒並み減収
アナログ半導体業界の企業業績が停滞している。車載および産業用の市場需要が伸び悩むなか、今年第3四半期(7~9月)は、大手企業の業績が軒並み悪化した。
米半導体大手テキサス・インスツルメンツの今年第3四半期業績は、主力部門のアナログ半導体の減収が響いて減収・減益だった。同社は、最大の収入源である車載及び産業用において、在庫過剰の問題がなお続いていると説明した。中でも産業用の売上高は、2022年第3四半期以降、8四半期連続の減少となり、最盛期から3割以上落ち込んだ。
24年第3四半期は、アナログ・デバイセズ、インフィニオン・テクノロジーズ、STマイクロエレクトロニクス、オン・セミコンダクターも軒並み減収だった。インフィニオンは今年の予想売上高を当初の165億~175億ユーロ(約2兆7361億~2兆9019億円)から155億~165億ユーロに引き下げた。
一方、中国のアナログ半導体メーカーの第3四半期業績はまちまちの内容だった。パワー・マネジメント集積回路(PMIC)市場をみると、主要12社のうち、増益は6社、減益は2社、赤字拡大は4社だった。
赤字が拡大した納芯微電子は、車載とコンシューマー電子機器用の需要拡大で売上高が30%超増えたが、価格競争の激化とコスト上昇が響いた。
もっとも、アナログ半導体市場の長期的な見通しは明るく、業界企業の業績低迷は一時的なものとみられる。インド調査会社のモードーインテリジェンスは、世界のアナログ半導体市場規模は2024年に912億6000万米ドル(約13兆9093億円)に達し、29年には1296億9000万米ドルに拡大すると予測した。
中国は足元で世界最大のアナログ半導体市場だが、国産化率は高くない。徳邦証券のリポートによると、2023年の中国のアナログ半導体自給率は15%にとどまった。