中国で半導体用シリコンウエハー増産投資、調整局面でも各社が積極姿勢
中国の半導体用シリコン(Si)ウエハーメーカーが、市場の在庫調整が長引く中でも、製品開発・増産投資を加速させている。電気自動車(EV)、ビッグデータ、人工知能(AI)といった産業の急速な発展がもたらす商機拡大を見越している。
上海硅産業集団は昨年、研究開発費として売上高の9.96%に相当する2億2,200万元(約48億200万円)を投じた。今年第1四半期(1~3月)はさらに投資を増やした。同社は子会社の上海新昇を通じて、月産能力30万枚の12インチ(300mm)ウエハーラインを建設中で、同ウエハーの月産能力は年内に60万枚に倍増する。別子会社のOkmeticは、フィンランドの200mmウエハーラインの拡張事業を進めている。
同社幹部は、「シリコンサイクルの調整局面は昨年の業績にある程度影響したが、長い目でみれば、EV、ビッグデータ、AIなどの産業発展を駆動力として、半導体産業の見通しは依然として明るい」と述べ、技術開発投資を継続していく姿勢を示した。
杭州立昂微電子は、昨年に投じた研究開発費が2億7900万元で、売上高研究開発費率は10.38%だった。子会社の嘉興金瑞泓浙が業績の足を大きく引っ張ったが、同子会社が江省嘉興市で計画する12インチウエハラインの拡張事業を予定通りに進めるなど、各地で増産投資を続けている。
業界関係者によると、Siウエハーは半導体不況の下で相場の下落が続いていたが、ここにきて大口径の12インチ(300mm)ウエハーに回復の兆しが見られている。
Siウエハーは通常、口径サイズが大きくなるほど、1枚のウエハーから取れるチップの数が多くなり、生産コストを抑制できるため、メーカー各社は大口径化に積極的だ。