マレーシアに「漁夫の利」、米中半導体戦争で企業進出加速

長期化する米中半導体戦争がマレーシアに漁夫の利をもたらしている。自国半導体産業の強化を狙う同国政府の思惑も重なって、中国企業を中心に半導体企業の同国への投資が集中している。

業界関係者は、半導体を主とした米国の対中技術規制が、中立の立場にあるマレーシアを半導体企業の投資目的地とさせている要因だと指摘する。欧州やアジア各国は米国の要請に応える形で、先進半導体やその設備の中国向け供給を制限する米国の対中半導体規制に追随している。

マレーシアの北端に近く、半導体関連産業が集積しているペナン州では、米国が対中技術規制を開始し、特にバイデン大統領が規制を強化して以降、中国企業の投資が相次いでいる。

これら中国企業の多くは、海外のサプライヤーや欧米の顧客を持っており、米国の規制を回避する目的でペナンに進出した。現地当局の推計によると、ペナンで製造業を営む中国企業55社の大部分は半導体産業に属しており、この数は米国の対中規制前の15社から急増した。

匿名を条件とするアナリストは、「米国の規制は現在のところ先進半導体のパッケージング工程には適用されていないが、中国企業は今後、規制の対象となることを懸念している」と指摘。「マレーシア企業と提携で先進半導体パッケージングを行うことでリスクを低減している企業もみられる」と補足した。

半導体のパッケージングや検査サービスといった後工程の分野で50年の歴史を擁するマレーシアは、世界市場規模5200億米ドル(約76兆6825億円)の前工程分野の強化に向けて、半導体製造や集積回路(IC)設計を手掛ける企業の誘致を狙っている。

集微網によると、アナリストからは、「ペナンに進出する中国企業の多くは現在、パッケージングや検査サービスの後工程に属しているが、より敏感で、より付加価値の高い事業を手掛ける企業が工場を設立し出せば、投資審査の対象となる可能性もある」といった声も出ている。

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