中国が顔認証のセキュリティ強化へ、推奨国家標準を制定
市場規模は25年に100億元に
中国政府は、顔認証システムのデータ保護を強化する。23日に全国信息安全標準化技術委員会秘書処が推奨国家標準(GB/T規格)となる「情報安全技術 顔認証データセキュリティ要求」(意見募集稿)を公開した。顔認証データを収集・利活用する事業者に対して求める基本的なセキュリティ対策を盛り込んだ。
データの収集・保管は利用者にその旨を告知し、同意を得るよう規定。突発的な事態が発生した際は、保管データを削除、または匿名化処理するよう求めた。データ利用後の速やかなデータ削除も要求。サイバー攻撃への防御力を備えていることも事業者の条件として求めた。
このほか、データセキュリティの管理責任者を設けることや、顔データの流出、破損、紛失が発生、または疑われる際は速やかに被害の補償など利用者への救済処置を講じることを要求。国内で収集、または生成した顔データは国内での保存を原則とし、海外に持ち出す場合は関連規定に沿って安全評価を実施しなければならないと規定した。
高精度かつ非接触を可能とする顔認証は、防犯、決済、交通などさまざまな用途で活用されるようになった。関連データによれば、中国の顔認証市場はすでに25億元(約417億5,000万円)規模に達しており、2024年には100億元を突破する見通しだ。しかし簡単に変更ができない顔データは、一旦流出すれば影響が大きく、十分なセキュリティ対策が求められる。