華中科技大学の研究員、韓国の常温超伝導を再現か
中国の華中科技大学(湖北省武漢市)の研究員らが1日、韓国の研究チームが発見したとされる常温・常圧の超電導物質「LK-99」について、同大学の実験室で世界で初めて再現できたとして、動画共有サイトの「哔哩哔哩(bilibili、ビリビリ)」で公開して話題となっている。2日午後7時現在の再生回数は750万回を超えた。
常温常圧の超伝導物質が見つかったとする論文は7月22日に発表され、 現在までにインドのCSIR国立物理研究所が再現失敗を宣言し、北京航空航天大学が再現結果が不十分だったとしている。米ローレンス・バークレー国立研究所は1日、コンピュータ・シミュレーションにより、LK-99は室温・常圧の超伝導物質である可能性が非常に高いことが示されたと発表した。
中国の人気動画共有サイトの「哔哩哔哩」では1日、「関山口男技師」というアカウトの配信主が「LK-99検証」という動画を投稿した。 動画の紹介文によると、この実験は、華中科技大学材料学院のポスドク研究員である武浩氏と博士課程の学生である楊麗氏が常海欣教授の指導の下で行ったもので、磁気浮上可能なLK-99結晶を初めて合成することに成功したとしている。
ただ、中国紙などによると、専門家は「今回は再現された材料が小さすぎるため、LK-99の反磁性特性しか再現しておらず、材料が本当にゼロ抵抗を持つかどうかは、さらなる実験を待つ必要がある」と指摘している。
超伝導は、金属や化合物などの電気抵抗がゼロに転移する現象のことで、リニアモーターカーやMRIなど多様な分野で活用されている。超電導状態は物質を超低温状態に冷却した時にのみ確認されている。常温・常圧超電導が実現すれば、よく知られているロスレス送電、磁気浮上式車両、高効率モーターや発電機、核磁気共鳴を利用した医療用画像診断、量子コンピューター、大型粒子加速器、エネルギー貯蔵、高感度センサーなどへの広い分野への応用が期待される。