LiDER開発に中国メーカー殺到、コスト低減で量産加速へ
自動運転向け高性能センサー「LiDER(ライダー)」の分野で、中国企業が技術力を磨いている。中国新興電気自動車(EV)メーカーの上海蔚来汽車(NIO、安徽省合肥市)が出資する図達通智能科技(江蘇省蘇州市、INNOVUSION)や、上海禾賽科技(HESAI、上海市)、深セン市速騰聚創科技(広東省深セン市、RoboSense)といった有力企業が頭角を現してきた。
自動車ニュースサイトの蓋世汽車によると、蔚来汽車の出資を受ける図達通智能科技は、浙江省寧波市と江蘇省蘇州市に生産ラインを持つ。同社創始者の鮑君威最高経営責任者(CEO)は、「今年の目標は蔚来汽車への製品供給を全力で保障することだ」と言及するとともに、国内外で新規顧客の開拓を進めていることを明らかにし、「LiDERはレベル3自動運転の必需品であると同時に、レベル2自動運転においても非常に重要なセンサーだ」と強調した。
一方、業界のダークホース的存在である上海禾賽科技は今年2月に米上場を果たし、時価総額世界最大のLiDERメーカーとなった。同社の公式発表によれば、LiDERの累計出荷数は10万台超。22年は約8万台を出荷し、業界最多を記録した。同社の顧客リストには、理想汽車、長安汽車、上海汽車などが並ぶ。
■国内乗用車向け販売は27倍の11万台
中国では2021年以降、自動車メーカーの間でLiDERの採用が相次いでおり、22年は多くのLiDER搭載車が量産された。調査会社の佐思汽研によると、22年の中国の乗用車(輸入車を含まず)市場におけるLiDER搭載車の販売台数は、前年の27倍の11万1,400台だった。同年内に顧客に納車されたLiDER搭載車は、9ブランドの13型式で、うち中国自主ブランドが8ブランド、合弁ブランドが1ブランドだった。
生産コストの低減も、LiDERの量産化を後押ししている。図達通智能科技によれば、かつて1万米ドルの水準にあったLiDERの生産コストは、足元で1,000米ドルを下回った。将来的には、5,000元(約700米ドル)以下に下がると見込まれる。
自動車分野のシンクタンク高工智能汽車研究院は、23年の国内乗用車のフロントエンド標準LiDERの出荷規模が40万~50万個に達すると予測している。