中国の研究チーム、615kmの量子暗号通信に成功
北京量子情報科学研究院の研究チームは、量子通信の主要方式の一つである量子鍵配送に関するオープン型新アーキテクチャの開発に成功し、615キロメートルの量子暗号通信に成功した。関連の成果はこのほど、国際的な学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。
研究チームは、光周波数制御技術をツインフィールド量子鍵配信に応用した。新アーキテクチャは、量子通信の安全性を確保すると同時に、量子鍵配送ネットワークの整備コストを大幅に引き下げることができるといい、中国がマルチノード広域量子ネットワークを構築する上での基礎を固める。
量子鍵配送は、測量も複製もできないという量子の性質に基づき、「1回1鍵」という暗号化方式によって、量子通信に「セキュリティロック」をかける。ツインフィールド方式は、量子暗号方式の中で最も長距離通信に適した方式とされる。
中国の2035年までの国家長期計画「第14次5カ年計画」では、デジタル経済における新たな優位性を構築するため、量子コンピュータ、量子通信、チップ、DNA(遺伝子組み替え)などの最先端技術を加速させる目標を掲げている。
新思界産業研究センターによると、現段階では国内での量子通信網の構築規模はまだ小さいものの、 26年には量子通信の市場規模が1,100億元(約2兆1,560億円)以上に達すると予想されている。