長江存儲、NANDの供給不足は今後3年続くと予想

中国のNAND型フラッシュメモリーメーカー、長江存儲(YMTC)は、現在の世界的なNAND市場の供給逼迫が今後約3年間続く可能性があるとみている。予測が実現すれば、NAND市場の需給不均衡は2029年前後まで続き、SSDやスマートフォン、その他の民生電子機器に使われるメモリーチップの価格も長期にわたり高止まりする可能性がある。
快科技が伝えた。この見方は、長江存儲が最近、投資家や市場関係者との交流で示したものだ。人工知能(AI)インフラの整備が拡大するなか、データセンターでは大容量の企業向けSSD需要が急速に伸びている。NANDフラッシュメモリーの生産能力はサーバーやAI関連ストレージ向けに振り向けられる割合が高まり、従来の民生電子機器市場に供給される分が圧迫されている。
今回のメモリー市場の逼迫は、NANDだけに限られない。DRAMも深刻な供給不足に直面しており、AIアクセラレーターに使われるHBM(高帯域幅メモリ)も、ウエハー生産能力をますます多く占有している。
長江存儲自身もNANDの生産能力を大幅に拡大している。湖北省武漢市に建設中の同社3番目のウエハー工場は、2026年末の稼働開始を予定しており、2027年から段階的に生産量を引き上げる計画だ。同社は同時に、新たな設備投資や生産ラインの高度化も進め、世界NAND市場におけるシェア拡大を目指している。
これに先立ち、長江存儲が2027年末までに世界最大のNANDフラッシュメーカーになることを目指しているとの報道も出ている。現在は韓国サムスン電子が世界市場で首位に立ち、SKハイニックスと傘下のSolidigmが続いている。長江存儲もすでに一定の世界シェアを確保しており、増産計画が順調に進めば、今後1年余りで世界市場における勢力図が大きく変わる可能性がある。
もっとも、生産能力を増やすだけで世界のストレージ市場が短期間に需給均衡を取り戻すとは限らない。NANDの生産には、ウエハー工場の建設、製造装置の設置、工程認証、歩留まりの向上など、複数の段階が必要となる。投資決定から安定した大規模生産に移行するまでには、通常数年を要する。
需要構造も変化
同時に、メモリー業界では需要構造も変化している。これまでNANDフラッシュの主要需要先は、スマートフォン、パソコン、一般消費者向けSSDなどだった。しかし現在は、データセンターがより重要な成長分野となっている。
AIサーバーは大量のHBMを必要とするだけでなく、モデルやデータセット、推論処理で生成されるデータを保存するため、より大容量の高速ストレージも必要とする。特に大規模AIクラスターでは、サーバー1台当たり、またデータセンター全体のストレージ容量が従来のパソコンやスマートフォンを大幅に上回る。AIモデルの規模が拡大するにつれて、大容量の企業向けSSD需要も増加しており、従来の「メモリー過剰」サイクルの先行きを見通しにくくしている。
ただし、長江存儲の予測は、今後3年間にNAND価格が必ず上昇し続けることを意味するわけではない。メモリ市場は依然として景気循環の影響を受けやすく、需要の変化、メーカーの増産ペース、AI向け設備投資、民生電子機器市場の動向などによって、最終的な需給バランスは変わり得る。特に、AIインフラへの投資が大幅に鈍化した場合や、2027年以降に新たなNAND生産能力が一斉に稼働した場合、市場が再び供給過剰に転じる可能性もある。
それでも、現時点で主要メモリーメーカー各社が示している見通しを踏まえると、少なくとも2027年前後まで、世界のメモリー市場が過去数年間のような供給余力のある状態に戻るのは難しいとみられる。




