長シン存儲、LPDDR6を量産開始 韓国勢と並ぶ量産ペース
小米「18 Fold」に初搭載

中国のDRAM大手である長シン存儲(CXMT)は8月29日、同社が独自開発したLPDDR6メモリの量産を開始し、次世代折りたたみスマートフォン「小米(シャオミ)18 Fold」に初めて搭載すると発表した。
小米集団創業者の雷軍氏も同日、SNSへの投稿で長シン存儲のLPDDR6量産開始を祝福した。雷氏によると、長シン存儲のLPDDR6に対応する最初のチップは、小米が開発した「玄戒O3」で、18 Foldに初搭載されるという。雷氏は「これが始まりにすぎないと信じている。今後さらに多くの優れた中国テクノロジー企業が力を結集し、高みを目指していく」とコメントした。
LPDDR6、最新の低消費電力メモリー規格
LPDDR6は現在、国際的に最新世代となる低消費電力メモリー規格だ。半導体の標準化団体JEDECが2025年7月に規格を策定した。同規格では、モバイル機器やAI(人工知能)向けメモリのデータ転送速度を10667~14400MT/sに引き上げており、帯域幅は約28.5~38.4GB/sに相当する。
また、モバイル機器や最先端AIシステムで求められる、より厳しい消費電力制約を考慮して設計されている。スマートフォンなどの端末側でLLM(大規模言語モデル)を動かす際のメモリ帯域幅不足の解消にもつながると期待されている。
LPDDR6では「デュアルサブチャネル」構造を採用する。1枚のダイに24ビット幅のチャネルを1つ搭載し、各チャネルを12ビットのサブチャネル2つに分割する構成だ。これによりデータへのアクセス経路を短縮し、遅延を抑えながら、32バイトという最小アクセス単位を維持している。
さらに、コア電圧を低減したほか、チップ内にECC(誤り訂正符号)、パリティーチェック、自己診断機能を追加。自動車やデータセンターなど、より厳格な信頼性が求められる用途にも対応できる設計となっている。
長シンのLPDDR6、ピーク速度12.8Gbps 容量は最大16GB
長シン存儲が28日に発表した2026年上期(1~6月)決算によると、同社が独自開発したLPDDR6チップは、前世代のLPDDR5Xと比べて性能を全面的に向上させた。アーキテクチャーの革新やデータ伝送の最適化技術を通じてデータ転送性能を引き出し、ピーク転送速度は1万2800Mbps、1チップ当たりの最大容量は16GBに達する。
現在、同製品は主要顧客にサンプルを提供して評価・検証を進めており、量産を加速している。今後はスマートフォンなどのモバイル機器に加え、サーバー、スマートカーなど幅広い分野での採用を見込む。
小米「玄戒O3」、LPDDR6対応の初のモバイルSoC
小米は8月24日、新世代の独自開発チップ「玄戒(Xring)」シリーズを発表した。ラインアップには、同社の最上位製品向けAIフラッグシップSoC「玄戒O3」、帯域幅1.22TB/sを実現するAIアクセラレーター「玄戒O100」、3ナノメートル(nm)プロセスを採用した高度運転支援向け高性能AIチップ「玄戒D100」が含まれる。このうち玄戒O3は小米18 Foldに初搭載される。玄戒O100と玄戒D100は27年に正式に商用化する予定だ。
小米によると、玄戒O3は業界で初めてLPDDR6に対応したモバイルSoC。メモリの1チャネル当たりのビット幅をLPDDR5Xの16bitから24bitへ拡大し、メモリー帯域幅を113.8GB/sまで引き上げた。LPDDR5X比で約50%の増加となる。
これにより、スマートフォンの日常的な操作性を高めるだけでなく、端末上で実行するAI処理の高速化や消費電力の低減につなげる。キャッシュ構成も組み合わせることで、メモリーアクセス遅延を82nsまで抑えたとしている。
サムスン、SKハイニックスと並ぶ量産ペース
LPDDR6をめぐっては、韓国のSKハイニックスとサムスン電子が26年下期の量産・出荷開始を計画している。米Micon(マイクロン)はすでにOEMメーカーやエコシステムパートナーへのサンプル提供を開始しており、27年の本格商用化を見込んでいる。
長シン存儲が今回LPDDR6の量産を開始したことで、同社はサムスンやSKハイニックスとほぼ同じタイミングで量産段階に入ったことになる。
中国国内の半導体メーカーである長シン存儲と小米による共同開発の成果や、長鑫科技製LPDDR6が小米18 Foldにどのように採用されているのかについては、9月に予定されている小米の新製品発表イベントで、さらに詳細が明らかになる見通しだ。




