商湯科技、国星宇航と共同で宇宙コンピューティング衛星を打ち上げへ

中国の画像認識大手、商湯科技(SenseTime、香港)は18日、2026年世界人工知能大会(WAIC)で、成都国星宇航科技股フン(四川省成都市)と共同で「AI演算能力(コンピューティングパワー)コンステレーション」を共同構築すると発表した。2026年内に4機の衛星を打ち上げて初期ネットワーク構築を完了し、28年に地上・宇宙ハイブリッドクラウドの商用AIバックボーンネットワークを構築し、30年までに1000機規模の衛星で構成され総算力が1万P(ペタフロップス)を超える宇宙AIコンステレーションを構築し、世界をカバーする空間知能コンピューティングネットワークを形成する計画だ。
双方が公表した発展ロードマップによれば、プロジェクトは「単機検証―プラットフォーム構築―コンステレーション組網」の3段階で推進される。26年内に初期衛星「商湯号」が高性能の自主制御可能な衛星搭載コンピューティングプラットフォームを搭載して打ち上げられ、高演算力・大容量ストレージ・軌道上リアルタイム知能処理能力を備え、複数のAIアルゴリズムの軌道上での稼働と展開をサポートする。
28年には地上スマートコンピューティングセンターと軌道上演算力ノードの協調スケジューリングを実現する地上・宇宙ハイブリッドクラウド商用算力バックボーンネットワークの構築を計画している。30年までに1000機規模の演算力コンステレーションが、グローバルな天地一体型のAI Token生産・流通体系を構築する。
商湯科技はまた、壁仞科技、硅基流動、寒武紀(Cambricon)、華為昇騰(Huawei Ascend)、極流科技、摩爾線程、沐曦股份、清程極智、曲径科技、算豊信息、燧原科技、曦望Sunrise、曦智科技、中科海光、中科嘉和の計15社の国産チップメーカーと連携し、Token工場を核心としてToken運営センターを共同構築し、2年以内に5つの万カード以上規模の国産演算力クラスターを建設することも明らかにした。
商湯科技の共同創業者・大型装置事業グループ総裁の楊帆(Yang Fan)氏は、国産異種混合推理クラスターにおいて、国産算力カードのPrefillなどの専用タスクにおけるコストパフォーマンスはすでに米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)のGPU(画像処理半導体)「H」シリーズの2倍以上に達しており、最適化前の自社性能と比較しても200%以上向上していると述べた。
26年7月時点で、商湯は1日平均2兆4000億回のToken呼び出し需要に対応できるようになっており、現在の成長計画に従えば、2026年末までにその呼び出し量規模はさらに10兆回規模に達する見込みだ。商湯はまた、上海臨港算力センター第2期建設プロジェクトを通じて同データセンターを少なくとも20万カード規模の算力ハブに育て上げ、香港では香港島最大の国産算力センターを構築する計画も持っている。
国星宇航は2018年5月に設立された、中国初のAI衛星技術の研究開発(R&D)と商業化に特化した民間宇宙企業だ。米フロスト&サリバンの資料によれば、同社は2018年12月に中国初のAI応用衛星を打ち上げ、24年9月には中国初のAI大規模モデル知能算力衛星を開発・打ち上げた実績がある。
国星宇航は25年末以降、世界初の汎用大規模モデル(アリババのQwen3)の宇宙軌道上展開、世界初のマルチモーダル大規模モデル(バイトダンスのUI-TARS)の宇宙軌道上展開、世界初の地上ロボットによる宇宙算力の呼び出しを相次いで実現した。2026年5月時点で、同社は累計14回の宇宙ミッションを完了し、27機の衛星を打ち上げており、そのうち18機が自主開発のAI知能算力衛星であり、AI衛星の打ち上げ回数は国内民間商業宇宙企業の中でトップとなっている。
宇宙コンピューティングとは、計算能力を持つ半導体チップ、演算力カード、サーバーを近地球軌道の衛星プラットフォームに展開し、データの軌道上リアルタイム処理を実現するものであり、業界では「軌道上演算力」とも呼ばれる。従来の衛星は宇宙でデータ収集、地上で処理するモデルを採用しており、データが宇宙で収集された後に地上に送り返されて処理されるが、衛星・地上間リンクの帯域幅と伝送遅延に制約され、多くの場合、数時間から数日単位の処理サイクルを要する。宇宙演算力は「天数天算」(宇宙でデータ収集・処理)を実現し、衛星が収集データを直接軌道上でリアルタイム処理・知能選別・圧縮して送信することで、タスクの処理時間を分単位に短縮できる。
技術的優位性の観点から、宇宙コンピューティングはグローバルなデッドゾーンなしのカバレッジ、自然な耐破壊性、データの近傍処理という3大特長を持つ。衛星は国境・海洋・地形の制約を受けず、僻地・航空・航海・緊急災害救援に低遅延のコンピューティングサービスを提供できる。戦争や災害で地上インフラが麻痺した際には、天基算力が国家戦略的バックアップとして機能する。リモートセンシング衛星は毎日ペタバイト規模のデータを生成するが、軌道上コンピューティングにより生データをリアルタイムで価値ある情報に変換し、結果のみを送信することで効率を100倍向上させることができる。また、衛星は太陽同期軌道でほぼ全天候の太陽光発電を活用でき、絶対零度に近い真空中での放射冷却によって機器の冷却を実現し、運営・保守コストは極めて低い。
応用シナリオとしては、商湯科技と国星宇航は、弱電波・無電波エリアや高付加価値シナリオでの宇宙算力の先行実用化を推進し、リアルタイムのAI推論と知能的意思決定支援を提供する。その価値は能力の境界を広げるだけでなく、中国のAI能力をグローバルに輸出するためのインフラとなり、国産AIの海外サービスのカバレッジを大幅に向上させることが期待されている。
宇宙コンピューティング競争が過熱
宇宙コンピューティングは米中テクノロジー競争の新たなフロンティアになりつつある。2026年1月、イーロン・マスク氏率いるSpaceXは米国連邦通信委員会(FCC)に最大100万機の計算衛星を打ち上げる申請を提出し、近地球軌道に展開することで地上のAI算力を拡張する計画を示した。同プロジェクトはマスク氏によって「Starmind」と確認されている。SpaceXによれば、1機の衛星が平均120kWの算力を提供し、ピーク時は150kWに達し、衛星は高速光学リンクでStarlinkに接続され、さらに衛星インターネットがデータを地上局に中継することで、軌道上コンピューティング・宇宙通信・地上アクセスを一つの完全なチェーンに統合しようとしている。
中国側では、商湯科技と国星宇航の協力に加え、中国工業情報化部が宇宙算力産業エコシステムの育成加速を明確に打ち出している。25年5月14日、国星宇航と之江実験室が打ち上げた世界初の12機のAI知能演算力衛星コンステレーションは、中国が天基算力ネットワーク分野で実質的な突破口を開いたことを示した。現在、中国はコンステレーションの初期軌道上ネットワーク構築において進展を遂げているだけでなく、衛星搭載耐放射線チップや衛星間レーザー通信などの重要技術でも突破を実現しており、「クラウド+エッジ+宇宙」の三位一体の算力ネットワークが大気圏外で形成されつつある。




