小米、段階的なリストラ実施か スマホ・自動車など複数部門に波及

10日付財新網は中国のスマートフォン大手の小米(シャオミ、北京市)のグループ従業員の情報を引用し、2026年3月以降、同社のスマートフォン、自動車、インターネット、国際部門など複数の事業部門にわたり段階的にリストラを開始したと報道した。研究開発(R&D)、テスト、製品、マーケティングなどの職種が対象となっており、削減比率は部門によって異なる。リストラは現在も継続中だという。
小米は財新に対し、「通常の業務チーム調整は存在するが、いわゆる大規模リストラはない」と回答した。
2019年にも6000人に及ぶとされるリストラの報道があった際、小米は「大規模リストラ」を否定し、「通常の人員最適化」に過ぎないと述べていた。
小米の北京在籍従業員が財新に明かしたところによると、今年4月から部門長が従業員とリストラについて協議を始め、対象従業員は6月に集中して退職したという。自身の所属部門のリストラ比率は約20%だと明かした。「20%という比率は人数ベースではなく、部門全体の人件費の20%だ」という。
南京(江蘇省南京市)部門の従業員によると、自身のチームは40人超から10人余りにまで削減されたという。同じ時期に削減された中には、2025年卒の新卒採用者の半数超も含まれていたとしている。
自動車事業については、EV(電気自動車)の高級モデル「SU7 Ultra」のために設置されていた専属販売チームが今年1月末に解散し、元専属販売員は全国でわずか30人が残留するのみとなった。今年2月、小米自動車の公式コミュニティは「小米SU7 Ultra専門チーム解散」などの情報は著しく事実に反するとし、実際には販売戦略の調整・アップグレードであると釈明する公告を発表した。
第1四半期売上高が11%減
リストラの噂の背景には、小米グループの最新決算の著しい悪化がある。26年第1四半期(1〜3月)、小米集団の売上高は991億4200万元(約2兆3794億円)で前年同期比10.92%減、親会社に帰属する純利益は47億2300万元で同56.77%の大幅減、調整後純利益は60億7200万元で同43.1%減となった。これは小米にとって直近3年間で初めての四半期売上高の前年同期比マイナス成長となった。
同期の事業別の内訳は以下の通り。スマートフォン事業は売上高443億元で前年同期比12.5%減、出荷台数は同19.2%減の3380万台。米調査会社IDCのデータによれば、2026年第1四半期の小米スマートフォンの国内出荷台数は前年同期比35%減となり、市場上位5位から転落した。
スマートEV・AIイノベーション事業は売上高199億元で前年同期比5.1%増となったが、営業損失は31億元に上った。昨年は同事業が通年で初めて黒字(営業利益9億元)を達成したが、今年第1四半期は再び赤字に転落した。
スマートフォン×AIoT部門は売上高793億元で前年同期比14.5%減となった。
従業員総数は537人減、研究開発人員は逆に591人増
小米の決算報告によれば、2025年12月31日時点の正規雇用者数は56531人であったが、2026年第1四半期末時点では55994人となり、前年末比537人減少した。
ただし、全体の従業員規模が縮小する一方で、小米の研究開発人員は591人増加し、2025年末の25457人から26048人に増えた。「総数を減らし、研究開発を増やす」というこの人員構成の変化は、AI・自動車などの中核分野への継続的な投資強化と、非中核職種の縮小という同社の方針を反映している。
リストラの話題を世論の焦点に押し上げたのは、小米社内のLark(飛書)に投稿された後、緊急削除された退職者の長文「置身米内(小米の中に身を置いて)」だ。筆者は24年に新卒採用で入社し、すでに退職した元小米従業員を名乗っている。
同文は、小米がリストラにおいて新卒採用者を「いとも簡単に切り捨てた」と指摘。創業者の雷軍最高経営責任者(CEO)が自ら手がけた製品ライン(自動車など)はヒット作を生み出せるが、手放した製品ライン(スマートフォンなど)は往々にして壁にぶつかるという。小米スマートフォンの高付加価値化という目標は依然として「半死半生」の状態にあり、今年第1四半期には国内出荷台数でランキングの「その他」に転落したとも指摘した。
スマホ事業の苦境
小米のスマートフォン事業は深刻な課題に直面している。IDCのレポートによれば、26年第1四半期の中国スマートフォン市場の出荷台数は約6904万台で前年同期比3.3%減となった。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)が19.8%のシェアで首位、米Apple(アップル)が18.9%で2位に続き、OPPO、vivo、Honorが3〜5位を占めた。小米は上位5位から転落し、「その他」に分類された。
米市場調査会社Counterpoint Researchのデータによれば、今年第1四半期の小米スマートフォンの国内出荷台数は前年同期比35%減となった。
出荷台数が落ち込む一方、小米スマートフォンの平均販売価格(ASP)は前年同期比8.2%上昇して1310.1元/台となり、過去最高を更新した。しかしASPの上昇は粗利率の改善につながらず、第1四半期のスマートフォン事業の粗利率は10.1%で前年同期比2.3ポイント低下した。主な要因はコア部品の価格上昇と中国大陸での競争激化だ。
メモリ価格高騰・AIによる代替・多正面作戦
小米の今回の人員調整は、複数の業界圧力が重なったことと関係しているとみられている。まず、ストレージコストの急騰がある。26年以降、メモリやSSDなどのコア部品の価格が継続的に上昇しており、小米が強みとしてきたサプライチェーンのコストパフォーマンス優位が弱まっている。小米の元紅米(REDMI)ブランド総責任者の王騰氏は3月に微信で「メモリは第2四半期もさらに値上がりする。今年のコンシューマーエレクトロニクス業界は本当に厳しい」と投稿し、「おそらく今年は各社で大規模なリストラの波が来るだろう」とコメントした。
次に、AI(人工知能)の進化による職種の淘汰がある。26年はAIの商業化実装が加速し、標準化・プロセス化された創造性の低い代替可能な職種が継続的に削減されている。小米の社内従業員によれば、同社は従業員の業務を「スキル化」(SOPをアップロード)しようと試みたが、場合によってはAIが人力より使い勝手が悪く、業務上で人間を完全に代替できないことが判明したという。
さらに、多正面作戦によるキャッシュフローの消耗がある。小米はスマートフォンの世代更新、スマート家電、新エネルギー自動車(NEV)、AI大規模言語モデル(LLM)の4つの分野を同時に攻略している。23年末に3万5000人だった小米の従業員数は25年末に5万6531人へと急増し、2年間で60%もの大幅増員となった。売上高の成長速度がコストの成長速度を下回った時点で、組織のスリム化は必然となったとみられる。




