中国光ファイバーが世界で爆発的受注、AIデータセンター向けなど

中国の光ファイバー業界は稀に見る「数量・価格ともに上昇」という好況を呈している。中国中央電視台(CCTV)の報道によれば、江蘇省のある光ファイバーメーカーは今年第1四半期(1〜3月)の光ファイバーの生産・販売量が前年同期比約5倍に増加し、価格は爆発的に上昇した。

江蘇省のある光ファイバーメーカーでは、光ファイバー「G.657.A2」の昨年の1芯キロメートル当たり32元(約736円)だったが、今年はすでに240元に上昇し、上昇幅は650%に達した。別のメーカーでは第1四半期の生産・販売量が前年同期比35%以上増加し、海外販売の増加率は55%を超え、手持ち受注の生産スケジュールはすでに2027年第1四半期まで延びている。

光ファイバーはほぼ毎日価格が変わる状況だ。米国のG.657.A1裸光ファイバーは1月以来69%値上がりし、欧州の同品種は2カ月で130%急騰した。国内のAI(人工知能)データセンター向け光ファイバーの価格も昨年末の1芯キロメートルあたり40〜50元から最新の200元超にまで上昇した。あるメーカーは「以前は我々が先に出荷して顧客が後払いだった。今は確実に商品を入手するために、顧客が先払いして納品を待つことを厭わない。売れ残りの心配はない」と述べた。

輸出も急増している。今年2月の中国の光ファイバー輸出額は7億9,000万元で、昨年同期比126.8%の大幅増となった。3月の中国の光ファイバー・光ケーブル輸出額は2億4,500万ドルで前年同期比263.84%増、輸出平均単価は前年同期比204.32%増となった。4月の光ファイバー輸出量は4,109トンで前月比52%増と過去最高を更新した。26年2月の中国の光ファイバー輸出量は約2,520万芯キロメートルで、月間有効生産量の約65%を占め、南米・中東・アフリカ・東南アジア地域などに輸出されている。

光ファイバーをGPUの隣まで敷設する

今回の光ファイバーへの需要爆発の要因は。従来の5G(第5世代移動通信システム)ネットワーク構築や光ファイバー・ツー・ザ・ホームから、コンピューティングセンター内部の高速光インターコネクトへと全面的にシフトしている。生成AIの大規模言語モデル(LLM)のトレーニング規模が兆パラメーターに向かうにつれ、データセンター内部のデータトラフィックは指数関数的に増加している。1万枚以上の高性能コンピューティングカードを備えたAIデータセンターに必要な光ファイバーの敷設量は、従来のデータセンターの5〜10倍に上り、総量は数万芯キロメートルに達する。

データによれば、25年の世界のデータセンター向け光ファイバー・光ケーブル需要量は前年同期比75.9%増の6,960万芯キロメートルとなり、26年には1億芯キロメートルを突破する見通しで、前年同期比増加率は約150%となる。AIが牽引する光ファイバー需要の比率は24年の5%未満から27年には35%に上昇すると予測されている。CRUの予測によれば、27年の世界の光ファイバー需要量は8億8,000万芯キロメートルに達し、2025年比35.4%増となる。

26年の世界の光ケーブル需要総量は5億7,700万芯キロメートルで前年同期比5%増となった。このうち北米市場のシェアは25%超で増加率は17%と高く、需要量は1億4,900万芯キロメートルに達する見通し。高関税に直面しても米国企業からの受注は続き、世界のすべての市場の中で最も成長率が高く増加量が最大の地域となっている。

軍用ドローンでも必要

AIデータセンターに加え、軍用ドローンが光ファイバー需要を牽引するもう一つの力となっている。ロシア・ウクライナ紛争以降、光ファイバー誘導ドローンが軍事前線の標準装備となり、1機の任務遂行に数キロメートルの光ファイバーを携行し、任務終了後は回収不能となるため、光ファイバーはインフラから高頻度の消耗品へと変わった。

統計によれば、ロシアは25年に約6,000万キロメートルの光ファイバーを購入したが、国内唯一の光ファイバーメーカーの年間生産能力はわずか400万キロメートルで、しかも25年に破壊されたため、供給は輸入に頼らざるを得ない。世界のドローン向け光ファイバーの年間需要量は今年8,000万芯キロメートルを突破する見通しで、世界総需要の10%以上を占める。

供給のボトルネックは母材にあり、増産サイクルは18〜24ヶ月

需要の急増の一方で、供給側には硬直的な制約がある。光ファイバー産業チェーンの利益の約70%は上流の光ファイバー母材(プリフォーム)の工程に集中しており、その増産サイクルは18〜24カ月に及び、投資規模も巨大だ。

世界の光ファイバー母材と光ファイバー生産能力の70%が中国に集中しており、中国メーカーが世界の光ファイバー・光ケーブル市場の60%以上のシェアを占めている。国盛証券のレポートは、26年の世界の光ファイバーの需給ギャップは約6%で、27年にはさらに15%に拡大すると指摘した。中信建投も26〜27年の世界の需給ギャップが15%に拡大する可能性があると指摘している。

海外大手については、米コーニングと日本のフジクラは2025年第2四半期にすでに満産稼働となっており、28年以前に有効な新規生産能力の解放はないと明言し、中国の光ファイバー母材の調達に転じ始めた。米Meta(メタ)やMicrosoft(マイクロソフト)などのテック大手はすでに事前にコーニングと数百億ドル規模の長期契約を締結して生産能力を確保しており、市場に残るスポット注文はさらに少なくなっている。

「光ファイバー四傑」と産業クラスター

世界トップ10の光ファイバー企業のうち、中国は長飛光繊(YOFC)・亨通光電・中天科技・烽火通信の4社が占めている。

長飛光繊は世界で唯一PCVD・VAD・OVDの3大主流母材製造技術を同時に保有し産業化を実現した企業だ。CRUのデータによれば、16年以来、長飛は母材・光ファイバー・光ケーブルの市場シェアで9年連続世界第1位を維持している。25年通年の営業収入は142億5,200万元で前年同期比16.85%増、純利益は8億1,400万元で前年同期比20.4%増となった。26年4月、長飛は湖北省初の時価総額2,000億元企業となった。

亨通光電は世界の光ファイバー通信トップ3、世界の高圧海底ケーブルトップ3だ。手持ち受注はすでに2027年第1四半期まで延び、海外市場の販売増加率は55%を超えている。中天科技のエネルギー相互接続分野の手持ち受注は約318億元で、時価総額は2026年4月に1,100億元を突破した。烽火通信は世界で唯一「光通信システム・光ファイバー光ケーブル・光電子デバイス」の3大戦略技術を一体化した企業だ。

「光ファイバー四傑」に牽引され、全国に光ファイバー関連企業が20万社以上あり、武漢光谷・蘇州工業園区などに巨大な産業クラスターが形成されている。

ハイエンド市場で課題

中国企業は生産能力で世界の頂点に立ったが、ハイエンド市場ではまだ課題が残る。米国のコーニングは約1万1,400件の有効特許を保有し、25年の光通信事業の純利益率は16.7%と中国のトップ企業を大きく上回っている。日本の住友電工・古河電工・フジクラ、そしてイタリアのPrysmian(プライスミアン)などの百年企業は、ハイエンドの工程とコア技術で独自の優位性を持つ。

しかし中国企業はすでに頂点への挑戦を始めている。26年のMWC(世界モバイル通信大会)で、長飛光繊は世界最低減衰0.04dB/kmの空洞コア光ファイバー(ホローコアファイバー)を発表した。従来の光ファイバーと比べて遅延を31%低減し、伝送速度を47%向上させ、世界最高水準に達した。このホローコアファイバーはAIデータセンター構築の最適な選択肢と見なされており、この全く新しいトラックで中国企業は最前線に立っている。

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