韓国BANF、米Silicon Labsとスマートタイヤ開発

韓国のスタートアップBANFは、米半導体メーカーSilicon Labs(シリコン・ラボラトリーズ)と提携し、電池を使用せずにタイヤ内部データをリアルタイム処理できるセンサーシステムの共同開発を進めている。蓋世汽車が13日伝えた。
BANFは、Silicon Labsの超低消費電力Bluetooth Low Energy(BLE)対応SoC(システム・オン・チップ)「BG22」を、自社のタイヤ埋め込み型センサー「iSensor」に統合した。iSensorはタイヤ内側の表面に設置され、1秒間に最大4000回の三軸加速度、空気圧、温度を測定できる。BANFによると、これらのデータを活用することで、トレッド摩耗、ホイールアライメントのずれ、ホイールナットの緩み、さらには路面の湿滑状態まで検出可能だという。従来のタイヤ空気圧監視システム(TPMS)は多くの国で車両への搭載が義務付けられているが、測定できるのは空気圧のみ。
iSensorは主に三軸加速度計を用いてデータを取得する。タイヤが回転して路面と接触する際には、前後(X軸)、左右(Y軸)、上下(Z軸)の三方向で特有の振動パターンが生じる。トレッド摩耗の進行は路面接触時の衝撃振動の大きさや形状を変化させるほか、ホイールアライメントのずれはY軸方向の非対称振動として現れる。また、ナットの緩みはタイヤ全体に特有の振動を発生させる。さらに、氷雪路面や濡れた路面では摩擦係数の変化が振動波形に反映されるという。BANFは、加速度データと空気圧および温度データを組み合わせることで、多様なタイヤ関連情報を抽出できるとしている。
iSensorは生データをそのまま送信するのではなく、タイヤ内部で初期処理を行い、要約された信号のみを車両の中央システムへ送る仕組みとなっている。その中核となるのがエッジ処理アルゴリズムで、データ送信前にアライメント異常やトレッド摩耗などの状態を検出できる点が大きな特徴だ。
もう一つの重要な特徴は電力供給方式にある。高速走行時にはタイヤ内部温度が100℃を超え、遠心加速度は重力の数百倍に達することがある。このような環境ではバッテリーの搭載は現実的ではない。BANFは磁気共鳴を利用したワイヤレス電力伝送技術を採用しており、車両のフェンダーに設置された装置「スマートプロフィロメーター」からタイヤ内部のセンサーへ無線で電力を供給する。
Silicon LabsのBG22チップは無線データ通信を担当する。タイヤ内部は鋼線ベルト層や厚いゴム層によってファラデーケージのような環境となり、無線信号が遮断されやすいが、同社によるとBG22はそのような環境でも安定したBluetooth接続を維持できるという。
BANFは、「タイヤは摩擦、荷重、機械的応力に関する膨大なデータを生み出しているが、これまでリアルタイムで取得・伝送する有効な方法はなかった。Silicon LabsのBG22とBANFのワイヤレス電力技術を組み合わせることで、タイヤのスマート化に新たな道を開く」と述べた。
BANFは2020年12月の設立。創業者のYoo氏はソウル大学で電気・コンピュータ工学の修士号を取得しており、起業前はLG CNSでワイヤレス電力技術の研究開発に携わっていた。
同社は新興分野であるスマートタイヤ市場で激しい競争にも直面している。米スタートアップRevvo Technologiesは2018年の設立以来、埋め込み型センサーとAIソフトウェアを組み合わせたタイヤ監視ソリューションを商用車フリート向けに提供している。これまでに約2300万ドル(約36億5700万円)を調達しており、今年2月にはシリーズAラウンドで1200万ドルの資金調達を発表した。同社のシステムはクラウドにアップロードされたセンサーデータを分析する方式で、定期的な交換が必要なバッテリー駆動センサーを使用している。また、Bridgestone、Goodyear、Continental AGといった世界的タイヤメーカーもスマートタイヤ技術の開発を進めている。



