米国BIS、中国半導体装置メーカー2社を制裁 SMICへの供給で実体リスト入り

米国商務省産業安全保障局(BIS)は12日、中国の半導体製造装置メーカー2社を含む中国企業23社を実体リスト(Entity List)に追加したと発表した。2社はファウンドリー(半導体の受託製造)大手の中芯国際集成電路製造(SMIC、上海市)に対し、規制対象のチップ製造装置を提供していたと指摘しており、中国向け半導体輸出規制を一段と強化する動きと受け止められている。専門家の間では、今回の制裁が世界半導体サプライチェーンに深刻な影響を及ぼすとの見方が広がっている。
BISはこれまでに、中国企業1112社を実体リストに掲載している。
今回半導体製造装置メーカーとして新たに制裁対象となったのは、吉姆西半導体科技(無錫)股フンと吉存半導体科技(上海)の2社。SMIC傘下の北京拠点が米国製装置を調達したことを理由に実体リストに加えられた。
両社は長年にわたり半導体前工程装置の研究開発・製造に注力しており、エッチング装置や薄膜成膜装置といった重要分野で事業を展開してきた。米国側は「先端プロセスに利用可能な装置を提供した」として輸出規制違反を主張。制裁により、米国企業は今後これら2社に関連製品や技術を輸出できなくなる。
中国商務部報道官は「米国は国家安全保障を口実に輸出規制を乱用し、半導体やバイオテクノロジー、航空宇宙、物流などの分野で多くの中国企業を制裁している。これは国際秩序を損ない、一方的かつ覇権主義的な行為であり、世界市場をゆがめ、企業の正当な権益とサプライチェーンの安定を深刻に損なう」と強く反発した。
また、中国半導体業界団体も声明を発表し、「今回の制裁は単辺主義と保護主義の表れにほかならない。中国企業の正当な権益を断固として守る」と強調。対象企業も影響を精査するとともに「国際貿易ルールを順守してきた」と訴えている。
市場データによれば、2023年の中国半導体製造装置市場は約300億米ドル(約4兆4280億円)規模に達し、国産装置のシェアは20%に上昇。エッチング、洗浄、薄膜成膜などの技術分野で中国企業は相次いで技術的ブレークスルーを果たしており、一部の製造装置はすでに国際先端水準に近づいているという。



