中国、電子情報製造業の低価格競争を是正へ

中国工業・情報化部と市場監督管理総局は4日、国内の電子情報製造業の発展を促す指針「電子情報製造業2025〜26年安定成長行動計画」を発表した。同計画によると、25~26年にかけて一定規模以上のコンピューター、通信およびその他電子機器製造業の付加価値は年平均約7%成長を目標とし、リチウムイオン電池や太陽光発電、電子部品製造を含めた電子情報製造業全体では年平均売上高成長率5%以上を目指す。
また、26年までに業界の売上高と輸出比率で41の工業大類の中で首位を維持し、5つの省・自治区・直轄市で電子情報製造業売上高が1兆元(約20兆6000億円)を突破し、サーバー産業規模は4000億元を超え、75インチ以上の大型テレビの国内普及率は40%超えを目指す。また、パソコンやスマートフォンも高性能・高付加価値化を進める。
業界内の「内巻き競争」を是正へ
同計画は、新興成長分野の育成、過度な「内巻き競争」(各業界内での過当競争)の是正、高付加価値供給力の強化、重点分野の産業配置最適化、サプライチェーンの強靱性と安全性の向上を打ち出した。さらに、高水準の対外開放を維持し、グローバルな電子情報製造業分業体系に深く組み込み、国内外市場の循環を円滑化して需要を掘り起こすことを強調している。
特に太陽光発電など新エネルギー分野では、業界内での低価格競争が問題となっている。これを法的に是正し、地方政府による無秩序な産業配置を抑制。製品の品質管理を強化し、投資・金融・安全政策との連携で技術進歩を促す。すでに24年以降、中央政治局や中央経済工作会議、政府活動報告などで「内巻き競争防止」が明確に打ち出されており、業界団体や関連企業も自律的取り組みを進めている。
中国の証券各社も、低価格競争の是正が新エネルギー車やリチウムイオン電池産業の国際競争力を高め、価格下落余地を縮小する一方で、需要期における稼働率上昇が収益改善につながると分析する。
AIとの融合が鍵
また、電子製品分野ではXR(クロスリアリティ)機器やAI(人工知能)端末といった先進デバイスに加え、スマートフォン、パソコン、テレビ、家庭用ゲートウェイなど従来製品も対象。AIとの融合を進め、規格策定や世代交代を推進するほか、新型ディスプレイ、スマートセキュリティ、車載コンピューティング、ウェアラブル端末、ヘルスケア、スマートホームといった新領域の製品開発を後押しする。
サプライチェーン面では、次世代装置供給能力の向上、5G/6Gの重要部品・モジュールの技術開発、先端計算、新型ディスプレイ、サーバー、通信機器、スマートハードウェアなど重点分野の大規模プロジェクト配置を推進。CPU(中央演算処理装置)やAIサーバー、ソフト・ハード連携の研究開発を強化し、大規模AIモデルとの適合試験を実施する。また、新型インフラ建設を先行的に進め、既存施設の運営水準を高め、サーバーやチップ、主要モジュールの互換性を強化する方針だ。



