米国の関税でディスプレイ需要2.3%減、中国企業が台頭=米調査会社

米市場調査会社Omdiaの最新データによると、トランプ米政権の関税政策によって世界のディスプレイ市場に長期的な悪影響を及ぼし、2025年の需要は従来予測より2.3%減少する見通しだ。関税がディスプレイのサプライチェーン再編や製造コスト上昇を招き、最終的に米国市場での需要を押し下げると指摘している。
中国のディスプレイパネルメーカーは現在、関税の影響に対応するため、生産ラインをメキシコやタイなどへ移転し、パネル後工程や原材料の生産も第三国に移す動きを加速させている。
SigmaIntelのリサ・リー総裁は、京東方(BOE)や華星光電が市場シェアと利益率の両面で向上している一方、LGディスプレイやサムスンディスプレイといった韓国勢は市場シェアや収益性で苦戦していると指摘する。
Omdiaのチョン・ユンソン常務取締役は、今年通年の大型OLED(有機ELパネル)パネルの出荷量が前年比15.5%増、出荷面積は10.4%増になると予測。韓国企業が大型ディスプレイ市場で優位を保っているものの、中国企業が参入を強化し、設備メーカーへサンプル提供を始めていると分析した。Omdiaのデータでは、OLEDは現在大型ディスプレイ市場の12.1%を占め、30年には24.1%まで拡大すると見込まれている。
また、Omdiaの過去の調査では、中国パネルメーカーの製品価格は韓国企業より30%低く、LCD(液晶ディスプレイ)市場で他国を凌駕したのと同様の戦略を採っていると分析。チョン・ヨンチョル氏は、韓国ディスプレイ業界が成功を維持するには、拡大し続ける市場シェアの確保と官民の協力が不可欠だと強調した。



