「メタバース」製造業で活用、中国工業情報省が後押し
中国工業和信息化部(工業情報省)の王江平副部長はこのほど、VR(仮想現実)を始めとする次世代情報技術の製造分野への活用状況を北京で視察後、関連企業を招いて座談会を開いた。会では、VRと鉄鋼分野の関連企業が「VR技術を用いたコストパフォーマンス向上」をテーマに交流を行った。4日付科創板日報が伝えた。
オンライン上に構築されたバーチャル空間の中で、実世界の離れた場所にいる人たちが交流・活動できるサービスを指す「メタバース」は近年、産業分野での活用が進んでいる。
電力業界では、ヘルメット一体型のAR(拡張現実)デバイスを用いて、現場の巡視点検作業をナビゲートする手法がすでに導入されており、送電大手の国家電網や、中国広核集団(CGN)傘下の福建寧徳核電などが5G(第5世代移動通信システム)とARを融合させた取り組みを始めている。
工業情報省は「VR産業発展白書5.0」の中で、「財政出動を通じてVR技術の産業化を促進し、工業、文化、教育など重点分野へのVR技術活用を支持する」との方針を表明した。産業向けメタバースは各地方政府の計画の重点に置かれ、上海、広州、無錫、武漢などの各政府が関連政策の中で、メタバースの製造業活用を奨励し、メタバースと実体経済の融合を奨励するスタンスを打ち出している。
業界関係者によると、製造業向けメタバースは、製造業のフルバリューチェーンをカバーすることから、消費向けをはるかに超える応用価値が期待される。
台湾の市場調査会社トレンドフォースの予測リポートによると、製造業向けメタバースは2025年の世界のスマートマニュファクチャリング市場規模を5,400億米ドル(約71兆9,820億円)超に押し上げ、21~25年の年間平均成長率を15.35%に到達させる。