韓国サムスン電子がLED撤退へ、パワー半導体・マイクロLEDに専念
韓国サムスン電子がLED(発光ダイオード)ディスプレイ事業からの撤退を決めた。サムスンは業績不振のなかで事業構造の見直しに着手しており、半導体部門もスリム化。LED事業を切り離し、パワー半導体やマイクロLEDといった将来性が見込めるコア領域に専念させる。
サムスンは2012年に子会社のサムスンLEDを合併し、テレビやスマートフォンなどに使うバックライト用や照明向けLEDの生産・販売事業に参入した。しかし同事業は近年、業績が低迷し、国際市場における競争力も失っていた。
LG電子は2020年にLEDから撤退しており、韓国の大手電機2社がいずれもLED事業を手放すことになる。
パワー半導体は電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵分野に活用され、半導体産業の競争力強化につながる重要デバイスとみなされている。また次世代のディスプレー技術とみなさるマイクロLEDは、量産やコスト削減に向けて、世界で激しい企業競争が繰り広げられている。
サムスン電子は韓国経済をけん引する存在で、2023年の輸出額は韓国の輸出総額の18%を占めた。サムスンの業績低迷は韓国の半導体産業の輸出競争力に影響を与えるだけでなく、同社と取引のある川上・川下企業にもネガティブなインパクトをもたらす。専門家からは「サムスン電子の危機は個別企業のレベルを超えて、韓国の経済危機に発展する可能性がある」と警告する声も出ている。