中国新興EVメーカー、半導体内製に注力

(NIOの発表より)

中国の新興電気自動車(EV)メーカーが車載半導体チップの内製化に乗り出している。業界競争の焦点であるスマートコックピット向けや自動運転向けの半導体を自社開発に切り替えることで、製品コストパフォーマンスを高める戦略だ。

上海蔚来汽車(NIO)はこのほど、自社で開発するスマートドライブチップ「神璣NX9031」がテープアウト(設計完了)し、テスト生産段階に入ったと発表した。消息筋によると、2025年第1四半期に納入予定のフラッグシップセダン「ET9」に初搭載される。

神キNX9031は、5ナノメートル(nm)プロセスで製造され、500億個以上のトランジスタを持つ。その性能は現在の業界の主流チップ(=Nvidia Drive Orin X)4つ分に匹敵するという。

小鵬汽車も自社開発の自動運転用半導体チップがテープアウト段階に入っており、8月中にも検証やテスト段階に入る。理想汽車が開発を進めるコードネーム「シューマッハ」も年内のテープアウトを予定している。

TechWeb.com.cnによると、業界関係者は「自動車メーカーが車載チップを内製すれば、自社のソフトウエアシステムと統合しやく、車載ソフトとハードウエアのシナジー効果を引き上げて、車両スマート化の効果を増強できる」と指摘。コスト面でも、製造コストを引き下げるだけでなく、車両の開発効率を引き上げ、企業全体の時間的コストを大幅に改善できるメリットがあるという。

一方で、車メーカーの半導体内製について業界関係者は、投資回収のリスクと、製品開発の“差別化”で業界をリードできるかどうかといった面などで課題があると指摘した。

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