世界半導体メーカーがシンガポール重視、シルトロニックは3カ所目工場

半導体製造分野でシンガポールの存在感が強まっている。ドイツの半導体メーカー、Siltronic(シルトロニック)が6月に開所したシンガポール3カ所目の工場は、世界の半導体メーカーが同国を重視する姿勢を反映した最新の動きとも言えそうだ。

シルトロニックがシンガポールに20億ユーロ(約3477億円)を投じて新設した工場は、12インチのウエハーを月間約10万枚生産する。同社にとって、シンガポール2カ所目の12インチウエハーラインとなる。

半導体産業は、シンガポールのエレクトロニクス産業を支える一大産業へと成長した。同国のエレクトロニクス産業の生産額の26%を占める。世界半導体大手の工場を誘致しており、研究開発センターを現地に設置する企業もある。

調査会社のスタティスタによると、同国の半導体市場は2027年に569億1000万米ドルに達し、24年比で7.85%拡大する見通しだ。

シンガポールは2020年12月、首相府管轄下の国家研究基金(NRF)が策定した2021~2025年の5カ年計画「研究・イノベーション・エンタープライズ2025年計画(RIE2025)」を発表。政府は引き続き、研究・イノベーション(R&D)振興向けに同国の国内総生産(GDP)の約1%に当たる予算を維持する方針を示した。同方針の下で、半導体分野では、同国の公共研究機関がMEMS(微小電気機械システム)分野の技術開発に注力し、自動運転車や医療・ヘルスケア向けウエアラブルデバイスといったエレクトロニクス産業の新たな成長機会を後押ししていくとみられる。

シンガポールは、世界80カ国・地域と包括的または部分的な二国間租税防止条約(DTA)を締結しており、同国に進出する海外企業は税負担が軽減されるメリットを享受している。シンガポール政府は、各種の税減免策を通じて、海外企業の投資を積極的に呼び込んでいる。

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