対中半導体規制でEDAの価格上昇、韓国ファブレス企業に逆風

Closeup of an electronic circuit of a motherboard

米国の対中半導体規制を背景に、半導体設計用ソフトウエアのEDA(電子設計自動化)の価格が上昇している。EDAを必須ツールとしている韓国のファブレス半導体企業は、コスト高への対応に迫られている。

半導体設計に用いるEDAは、世界の半導体競争の勝敗を握るキーツールになった。世界のEDA市場は、Synopsys(シノプシス)、ANSYS(アンシス)、Simens EDA(シーメンスEDA)の米3社が75%近いシェアを掌握し、残りの25%を中国と欧州の企業が競い合っている。

EDA大手3社は、サムスン電子やSKハイニックスを始めとする世界の主要なファブレス半導体メーカーを顧客に持つ。3社は過去に300回近い買収を繰り返して、業界で独占的な立場を築き、価格決定の主導権を握っている。

半導体技術の進歩と、人工知能(AI)半導体の需要拡大につれて、EDAの重要性は今後ますます高まっていく。しかし、韓国にはEDAのビジネスエコシステムが形成されていない。国内に2社のEDAベンダーが存在するが、そのシェアはゼロに近い。韓国の博士号取得者の多くは、米国のEDA大手3社に就職しているのが現状だ。

6月30日付愛集微によると、韓国成均館大学半導体融合学部のKim Yong-seok教授は、「韓国は半導体の性能を加速さえるHBM(広帯域メモリー)の分野で高い技術力を持つが、AIとHBMを融合させた先端EDA技術を持たない。台湾は同技術の取得に注力しており、HBM発祥の地である韓国も後れを取ってはならない」と危機感を示した。

業界専門家は、「生成AI時代の到来に伴って、韓国はEDAツールの分野で独自の技術開発力を獲得しなければならない」と指摘する。EDAツールにAIを活用することで、熟練者でも数カ月を要した設計を2~3時間で完成させることも可能になった。英調査会社のEMSリサーチによれば、2020年に108億米ドル(約1兆7382億円)だった世界のEDA市場規模は2026年に183億7000万米ドルに拡大すると見込まれる。

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