「医療AI」、中国のテック企業や製薬会社が参入

医療の分野に人工知能(AI)を活用する医療AI事業に中国のテック企業や製薬会社が続々と参入している。大量かつ多様な言語データを学習した生成AIは医療業界の再構築を促しており、医療AI市場のパイ争いが早くも始まっている。

通信大手の中国移動(チャイナモバイル、北京市)の楊傑董事長は、6月26日に開催された「モバイルワールドコングレス(MWC上海)」で、中国移動はAIの活用に取り組む「AI+行動計画」を大々的に推し進め、医療などの分野でAIエージェントのサービスを展開していくと述べた。

このほか、安徽科大訊飛信息科技(アイフラテック)、雲従科技(クラウドウォーク)、衛寧健康科技といったテック企業が医療機関向けの生成AIサービスに取り組んでいるほか、無錫薬明康徳新薬開発、泓博医薬などの医薬品開発メーカーがAIを活用した新薬創出に乗り出した。

百度(バイドゥ)、騰訊(テンセント)、阿里巴巴(アリババ)、字節跳動(バイトダンス)などのインターネット大手も独自のAIアルゴリズムを基に、AI創薬プラットフォームを構築した。

中国のコンサルタント会社、灼識諮詢(China Insights Consultancy)の王文華パートナーは「医療は新薬開発、臨床診断、治療、ヘルスマネジメントなど、関連する分野が多岐にわたる。これらの各分野をAIと掛け合わせることで、新たな商機、さらには新たな競争の場を生み出すことができる。例えばAI創薬は、開発期間の短縮やコスト削減などが見込めることから、導入を検討する企業は多い」と述べた。

米調査会社IDCによると、世界のAI応用市場規模は2025年に1,270億米ドル(約20兆4340億円)に達する見通し。そのうち医療分野は5分の1を占め、今後5年で最も成長スピードが速いと予想される。

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