上海微電子、28nmプロセスの半導体リソグラフィ装置開発成功か
半導体輸出規制で国産化機運
半導体露光装置の中国最大手の上海微電子装備(SMEE、上海市)は、28nm(ナノメートル)プロセスの半導体製造に使用されるArF液浸露光装置「SSA/800-10W」の開発に中国企業として初めて成功したもようだ。今年末にも発売する。米国、オランダ、日本による先端半導体製造装置の輸出規制が相次ぐ中、中国企業による半導体製造装置の国産化機運が高まっている。
国営通信社の新華社が証券日報の報道を引用して2日伝えた。露光装置は集積回路(IC)の製造工程でにおいて半導体ウエハーに回路パターンを焼き付けるための装置で、半導体製造の技術レベル全体を左右する重要な技術であり、極めて複雑で精密な装置。半導体露光装置市場はオランダのASML、ニコン、キヤノンの3社の寡占状態にあり、中でもDUV(深紫外線)露光装置とEUV(極端紫外線)露光装置は、ASMLの独占状態にある。
最先端技術のEUV露光装置の分野で、中国は先進国より50年出遅れて開発が進められており、業界トップの上海微電子でさえも、海外大手との技術格差は大きい。
しかし上海微電子は、最先端とまではいかないものの、ハイ~ミドルの露光装置領域では90nmや110nmプロセス対応のArFドライ露光装置、280nmプロセス対応i線露光装置を中国内で販売し、比較的高いシェアを獲得している。年内に発売予定のArF液浸露光装置「SSA/800-10W」は、ハイ~ミドル露光装置の最新製品になるという。ArF液浸は、回路を形成するための光源を短波長化する代わりに、像空間における露光光を短波長化する技術で、次世代の露光装置技術として期待されている。
上海微電子は2002年の設立。主に半導体設備、汎半導体設備、スマート設備の開発・製造・販売を手掛け、集積回路(IC)や先端パッケージ、FPDパネル、MEMS、LED、電力部品などの製造分野で広く使用されている。
中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)もリソグラフィ技術への投資を加速しており、昨年末にはEUVリソグラフィの中核技術に関わる「反射鏡、リソグラフィ装置およびその制御方法」と題する特許を公開している。