LLMを支える超高速GPU、中国企業がNVIDIA製の代替狙う
大規模言語モデル(LLM)などの生成AIを支える超高速GPU(画像処理半導体)の分野で、中国企業が技術力を磨いている。米国の対中半導体規制の一環として、高性能GPUの対中輸出が禁止されるなか、中国企業は米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)のGPUに代替できる独自のGPUチップを作り始めている。
米国の規制を受けるなかで、エヌビディアは中国市場向けに専用開発した高性能GPU「A800」の提供を始めた。「A800」のデータ転送速度は、「A100」の3分の2に落とされており、この性能低下分を中国企業の製品で補えるかに注目が集まる状況だ。
中国科学院傘下でAIチップの開発と生産を手がける中科寒武紀科技(カンブリコン・テクノロジーズ、北京市)のクラウドコンピューティング向けGPUチップ「思元370」は、単精度浮動小数点演算性能が24TFlops、半精度浮動小数点演算性能が96TFLPOSで、いずれもエヌビディアの「A800」を超えた(ただメモリ容量は24GBにとどまり、エヌビディアの最新の超高速GPU「H100」に遠く及ばない)。
中国の動画サイトが、寒武紀科技製のGPUと、エヌビディアの「A100」を使って、パラメータ数が1,000億のLLMを学習・訓練させ、その成果を点数化したところ、「A100」は92点、寒武紀科技製は87点と、それほど大きな点数差はなかった。
鈦媒体によると、アナリストは、「寒武紀科技製チップに適合するようLLMに調整を行えば、さらに高得点が取れるはずだ」としている。
中国製GPUチップの高性能ランキングは足元で、寒武紀科技の「思遠590」がトップ、華為技術(ファーウェイ)の「昇騰910」が第2位。いずれもエヌビディア製「A100」の対抗馬として開発された。
同様に、海光信息のGPU「海光8100」や、壁仞科技(Biren Technology)」の「BR104」も、エヌビディア製GPUと間に一定の性能差が存在するが、金融や医療の分野など活用されるパラメーター数がGPTほど高くないAIモデルであれば、中国製GPUでも十分に賄えるレべルだという。