アップル、発表観測のMRヘッドセット 中国で開発進むか
AI応用市場にも追い風
今月6日にオンライン方式で開幕する米アップルの開発者向けイベント「Worldwide Developers Conference23」(WWDC23)で、同社初の複合現実(MR)ヘッドセットが発表されるとの期待が高まっている。刺激を受け、中国でも上場各社がMR技術の開発を加速する可能性がある。
MRは「Mixed Reality(ミックスド・リアリティ)」の略称で、MRヘッドセットが現実空間の形状を認識し、仮想オブジェクトであるホログラムをディスプレイに投影して、現実空間上に可視化する技術だ。
アップルをめぐっては、「MRヘッドセットを開発中」との観測が以前から浮上しているが、アップルは現時点で同製品の存在を明らかにしていない。
市場のうわさによると、MRヘッドセットの製品名は「Reality Pro」で、新しいOS(オペレーションシステム)「xrOS」を採用するほか、同社の主力プロセッサーである「M2」を搭載するとみられる。アップルがこれまでに設計した製品の中で最も複雑なものとなり、価格は3,000米ドル(約41万9,400円)程度の高額になるという。
1日付Techwebによると、渤海証券は、アップルによるMRヘッドセットの発表は、スマートデバイス業界に非常にポジティブな押し上げ効果をもたらすとともに、人工知能(AI)技術の向上を力強く後押しすると指摘。スマートデバイスとAIの両面が市場応用されていることで中長期的に恩恵を受ける上場企業に注目するよう投資家に提案した。
中国の上場企業では、デジタルメディアの上海風語筑文化科技(上海市)や自動化設備の博衆精工科技股フン(江蘇省蘇州市)などがMR関連技術の開発を進めているとされ、IoT(モノのインターネット)など工業分野などでもMR活用の検討が進んでいる。
米調査会社IDCによると、中国のAR・VR向け投資規模は26年に120億米ドル(約1兆6,788億円)を超え、世界全体の投資額の24.4%を占めると予測されている。