中国、AI実装を加速へ 「政府活動報告」に盛り込む
中国で開幕した全国両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議全国委員会会議)は、「AI(人工知能)」がホットなテーマの一つとなっている。
5日に始まった中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)で行われた李強首相による「政府活動報告」では、ビッグデータやAI技術の開発・実装を進め、AIとあらゆる産業を連携させる「AI+」行動を展開していくとの政策指針が示された。
智能制造網によると、今年の両会期間中は、科大訊飛(iFLYTEK)、中国移動(チャイナモバイル)、360集団、万華化学などの両会代表・委員が、AI産業の革新的発展を促す政策提言を行う。
全人代の代表である科大訊飛の劉慶峰・董事長は、「汎用AI発展計画」の制定を国に提言。汎用的な大規模言語モデル(LLM)の技術開発投入の強化や、国産LLMに関連する独自の産業生態系の構築、AI人材の育成などを盛り込むよう提案する。
全国政協委員を務める360集団の創業者、周鴻禕氏は、「AIのマルチシーンでの活用を深化し、LLMの垂直方向、産業方向への活用を後押しする提案」を提出した。中央企業が率先してLLMの活用シーンを増やし、さまざまな業界のデジタル化を促進することや、企業がLLMとデジタル化を融合させることなどを提案している。
全国政協常務委員である中国移動の楊杰董事長は、「『AI+』行動の全面的推進、次世代生産力の形成加速に関する提案」を用意。AI+行動を国家レベルで進め、発展目標やコア・ミッションの明確化を提言した。
中国信息通信研究院によると、2022年の中国のAI中核産業規模は前年比18%増の5,080億元(約10兆6,982億円)だった。23年は13.9%増の5,784億元に拡大したとみられる。