華人天才数学者の陶哲軒氏、米ホワイトハウスの生成AI作業部会長に
オーストラリア出身の華人「天才数学者」の陶哲軒(テレンス・タオ)博士がこのほど、米ホワイトハウスの生成AI(人工知能)に関する作業部会を率いることになったと自身のブログで明らかにした。
陶博士によると、大統領科学技術諮問委員会(PCAST)はこのほど、生成AIに関する作業部会を設立。陶氏は、ローラ・グリーン女史と同作業部会の議長を務めることになったという。
同作業部会は、大規模言語の一般的なテキストベースモデル(ChatGPTなど)、画像生成の拡散モデル(DALL-E2、Midjourneyなど)、科学アプリケーションのモデル(タンパク質設計や天気予報など)など、科学や社会に広く影響を与える生成AI技術に焦点を当てる計画だ。ただ、陶博士は、米OpenAIの対話型AI「ChatGPT」について、「数学的分野からみてあまり付加価値はない」と述べている。
ホワイトハウスは3月、PCASTが設立した生成AI作業部会について、「AIの主要な機会とリスクを評価し、これらの技術の開発と展開が可能な限り公正で責任ある安全なものとなるよう最善の方法について助言を提供するもの」と説明している。
陶博士は、オーストラリア出身の数学者。現代における偉大な数学者の一人として知られ、その並外れた業績の幅の広さから「数学のモーツァルト」と呼ばれることもある。研究内容は純粋数学と応用数学の両方に及び、圧縮センシング(信号処理と暗号技術に用いられる)や数論への重要な貢献がある。数学のノーベル賞といわれる「フィールズ賞」、「マッカーサー天才フェローシップ」、全米科学財団の「アラン・T・ウォーターマン賞」などを受賞。米国国立科学アカデミー会員。