バイトダンス、台湾・聯発科技のデータセンター向けAIチップを調達か

米ブルームバーグは14日、動画投稿アプリ大手「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)が、台湾のファブレス半導体設計企業、聯発科技(MediaTek)からデータセンター向け半導体を調達する協議を進めていると報じた。ByteDance向けに設計されたカスタムASICが対象とみられるが、数量や契約規模は明らかになっていない。
バイトダンスと台湾のファブレス半導体設計企業、聯発科技(MediaTek)の双方は、報道についてコメントしていない。現時点で確認できる情報は限られているものの、取引が実現すれば、両社による大規模なデータセンター向けチップ供給協議としては初の事例となる可能性がある。
エヌビディア依存を抑え、推論向けに調達
バイトダンスが聯発科技に接近する背景には、米国の輸出規制がある。バイトダンス、阿里巴巴集団(アリババ・グループ)、騰訊(テンセント)など中国の大手インターネット企業は、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)の最先端AI半導体の入手が制限されている。一方、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)など中国企業の製品だけでは、急増するAI計算需要を全面的に賄うことは難しい。
今回の調達は、エヌビディアのトレーニング用GPU(画像処理半導体)を直接代替するというより、推論処理や用途に応じたカスタム計算能力を拡充する狙いが強いとみられる。
聯発科技は、エヌビディアの「NVLink Fusion」プラットフォームを活用し、クラウド大手やAIモデル開発企業向けのカスタムXPUを開発する構想を進めている。カスタムチップをエヌビディアのラック規模システムに接続するための環境を整えることで、独自チップが既存のAI基盤から孤立するリスクを抑えられる。
バイトダンスはAI投資を拡大
バイトダンスは非上場企業で、財務情報を公表していない。報道や関係者の話によると、同社の2026年の設備投資額は当初1600億元程度と見積もられ、その後2000億元超へ引き上げられた可能性がある。データセンターやAIインフラへの年間投資額が最大700億ドルに達するとの観測も出ている。
同社は、エヌビディア製品の調達、ファーウェイの昇騰シリーズ、独自開発チップ、海外データセンターの計算資源を組み合わせる「複線型」のAI計算戦略を進めているとみられる。
また、バイトダンスはデータセンター向けCPU(中央演算処理装置)の自社開発にも取り組んでおり、英ArmとRISC-Vの二つのアーキテクチャーを並行して検討していると報じられている。
聯発科技とのASIC(特定用途向け集積回路)協議が事実であれば、バイトダンスがAI半導体の調達先と技術路線をさらに多様化し、米国の規制や特定メーカーへの依存を抑えようとしていることを示す。
ただし、今回の協議は数量、契約、輸出管理上の承認などが未確定だ。今後、エヌビディア製品の中国向け供給条件や米国の輸出規制が、バイトダンスによるカスタムASIC調達の規模を左右することになる。




