CATL、海博思創に3年間60GWhのナトリウムイオン電池供給へ

中国車載電池大手の寧徳時代(CATL)は27日、電気化学エネルギー貯蔵システムの研究開発(R&D)を主力事業とする北京海博思創科技股フン(北京市)から3年間で60ギガワット時(GWh)のナトリウムイオン(SIB)電池受注協力を達成した。これは世界でこれまでに締結された最大規模のナトリウムイオン電池受注となった。
CATL初の蓄電用ナトリウム電池戦略協力パートナーとして、海博思創はCATLと技術研究開発・製品応用・プロジェクト実施などの面で緊密に協力する。
ナトリウムイオン電池は新しい概念ではないが、長期にわたってエネルギー密度の低さや量産プロセスの不安定性などの問題に制約され、小規模なデモンストレーション段階にとどまってきた。CATLが今回60GWhの大規模受注を獲得できた鍵は、材料から製造に至るコアボトルネックを体系的に克服したことにある。
材料面では、CATLは形態制御と表面改質によってナトリウムイオン電池のエネルギー密度を大幅に向上させた。2025年4月に発表したナトリウムイオン電池「鈉新」はエネルギー密度175Wh/kgを達成し、業界量産最高水準となっている。ハイブリッド車型のEV(電気自動車)走行距離は200キロメートル(km)を超え、純電気自動車の航続距離は500kmを突破し、5C超急速充電に対応し、サイクル寿命は1万回に達する。
製造プロセス面では、CATLはオングストローム級の孔径調整・表面分子水分ロック・自適応ダイナミック化成などのコア技術によって、ハードカーボン生産ラインの気泡発生や水分管理などの量産工程の課題を体系的に解決し、大量生産品の均一性を確保した。これはナトリウム電池がもはや実験室のサンプルではなく、安定して大量生産できる工業製品となったことを意味する。
さらに重要なのはサプライチェーンの適合性だ。寧徳時代の蓄電用ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池と同サイズのプラットフォーム設計を採用しており、既存のサプライチェーンとの高い互換性を持ち、適合コストを効果的に削減し、製品から蓄電所の展開までの時間を大幅に短縮した。
ナトリウム電池の差別化優位性
リチウム電池と比較して、ナトリウムイオン電池は蓄電シーンにおいて独自の適合優位性を持つ。ナトリウム電池の材料は広温域適合能力を備え、マイナス40℃からプラス70℃の全温度域で動作でき、高温サイクル寿命が優れている。極寒環境下では、鈉新電池は残量10%の状態でも出力が低下せず、30〜80% SOCでの低温充電は30分で完了する。
また、ナトリウム電池は動作中の発熱が少なく、セルの膨張応力が小さく、安全安定性が優れている。長時間蓄電の主要応用シーンでは、システム統合において蓄電システム全体のアーキテクチャを効果的に簡素化し、補助エネルギー消費を削減して発電所の運転効率と総合経済性を全面的に向上させることができる。
世界のナトリウム電池大規模化の新段階
60GWhという受注規模は、ナトリウムイオン電池産業に「強心剤」を注入するに等しい。これまでナトリウム電池は技術検証とデモンストレーションプロジェクトの段階にとどまっていたが、3年間の長期受注は、ナトリウム電池が正式に商業化・大規模応用の新段階に入ったことを意味する。
寧徳時代にとってこれは技術的蓄積の集中的な実現だ。同社の首席製造官・倪軍氏は今年3月、次世代電池技術への継続的な布局を明らかにし、ナトリウムイオン電池・凝縮状態電池・全固体電池・リチウム空気電池がいずれも技術的蓄積の対象となっていると述べた。昨年発表した「鈉新」ナトリウムイオン電池は今年大規模量産・市場投入される予定だ。
海博思創にとっては、ナトリウム電池製品ラインの導入により蓄電システムソリューションが豊富になる。中国電力企業連合会の統計によれば、2024年末時点で海博思創は国内の稼働済み発電所の設備容量ランキングで第1位に位置し、S&Pグローバルの統計では2024年の世界の電池蓄電システムインテグレーターの新規蓄電設備容量ランキングでトップ3に入っている。
より広いエネルギー産業の視点から見ると、ナトリウムイオン電池の大規模実用化は世界のエネルギー転換により強靭で多様な技術的支柱を提供するものだ。ナトリウム資源は地殻中の存在量がリチウムをはるかに上回り、広く分布しており、単一の資源国の地政学的駆け引きに制約されない。リチウム価格の変動とサプライチェーン安全への関心が高まる中、ナトリウム電池の産業化は蓄電コスト曲線を効果的に安定させ、リチウム資源への単一依存を低減し、より多様化した電池技術路線を構築することになる。




