米国のデータセンター、26年計画分の半数近くが中止または延期の危機

米国のAI(人工知能)インフラ拡張という壮大な物語が、厳しい現実の試練にさらされている。米市場調査会社Sightline Climate(サイトライン・クライメート)が発表した最新の「2026年データセンター展望」レポートによれば、米国が今年新たに追加を計画している約16ギガワット(GW)のデータセンター容量のうち、30%から50%が延期または中止に直面すると予測されており、現時点で実際に建設段階に入っているのは約5GWにすぎないことが分かった。

この数字は、ハイパースケールクラウド企業の7,000億ドル(約111兆3000億円)を超える年間設備投資予算と鮮明な対比をなしており、AIインフラ建設が電力供給・サプライチェーン・社会政治的側面において深刻な困難に直面していることを示している。

米ブルームバーグの報道によれば、変圧器・開閉設備・バッテリーなどの電気設備の深刻な不足が遅延の主な原因の一つであり、米国内の製造能力は需要を到底満たせず、建設事業者は輸入に頼らざるを得ない状況だ。同時に、地域住民の反対・許認可の障壁・電力網への統合の遅れが重なり、プロジェクトの実現可能性を圧迫している。

供給不足の深刻さは一目瞭然で、27年以降の見通しはさらに暗い。Sightline Climateのレポートによれば、26年には全米で140のデータセンタープロジェクトが稼働を計画しており、合計容量は約16GWだが、そのうち53%が電力網に接続し、3%が自家発電、25%はまだ電力供給方法を開示していない。しかしこの16GWの計画容量のうち、11GWはいまだ「発表段階」にとどまり、建設の兆しが全くない。データセンターの標準的な建設期間は12〜18カ月であることを考えると、この部分の容量が予定通りに稼働する可能性は極めて低い。

27年を展望すると、ギャップはさらに拡大する。発表済みの計画容量は21.5GWに達するが、実際に建設中の規模は約6.3GWにすぎない。28年から32年にかけての状況はさらに深刻で、計画プロジェクトの大半はまだ着工しておらず、37GWの計画インフラには明確な竣工日すら設定されておらず、実際に着工済みなのはそのうち4.5GWのみ。

変圧器のボトルネック

変圧器のボトルネックが命脈を握り、サプライチェーンは輸入依存が高まっている。電力インフラの不足がデータセンター建設を制約する核心的なボトルネックだ。データセンターの急速な規模拡大には、高圧電力網の電力を安全に変換してチップに供給するための大容量変圧器が必要となる。

20年以前は大容量変圧器の納期は通常24〜30カ月であり、旧来のモデルでは「完全に許容範囲内」だったが、AI企業は通常18カ月以内の納入を求めている。需要の急増により変圧器の納期は最長5年にまで延び、価格も大幅に上昇している。一部の企業は廃棄された発電所の古い変圧器を改修するなどの応急措置を取っている。

変圧器などの電気設備への需要圧力はデータセンターだけでなく、EV(電気自動車)とヒートポンプの普及も電力網の拡張需要を押し上げており、米国内の製造能力はとても追いつかず、輸入依存が深まっている。この困難は、米国が数十年にわたって製造業をアウトソーシングしてきた深層的な構造問題を反映している。近年、製造業の国内回帰を求める政策の声は高まっているが、実質的な生産能力の向上は今のところほとんど成果を上げていない。

電力供給側の困難も楽観視できない。トランプ政権の原子力復興の公約は現時点では口頭にとどまり、新たな原子力発電所の着工はほとんどなく、小型モジュール炉(SMR)は希望の光とされているものの、実際の大規模実用化にはまだ数年を要する。

専門家は「AI演算能力(コンピューティングパワー)は到底足りない。すべての参加者が深刻なAI演算能力の制約に直面している。ウエハー工場からデータセンターの許認可、電力・メモリ・労働力に至るまで、ボトルネックは現実に存在し、かなりの期間続くだろう」と指摘する。

Tags: , , ,

関連記事