米テスラの「Optimus」、三花智控にアクチュエーター6億8500万ドルの大型発注

米電気自動車大手のTesla(テスラ)がこのほど、中国空調機部品メーカーの浙江三花智能控制(浙江省紹興市)に対し、6億8500万ドル(約1034億3500万円)規模のヒューマノイドロボット「Optimus(オプティマス)」向けアクチュエーター生産を発注したことが明らかになった。このニュースを受け、中国A株市場ではロボット関連銘柄が急騰し、三花智控はストップ高を記録した。
テスラは2021年の「AIデー」で初めてヒューマノイドロボット構想を発表しており、4年にわたる技術開発を経て、現在のOptimusは運動制御やAIアルゴリズムの精度が大幅に向上した。第2世代では関節の柔軟性が40%向上し、消費電力は25%削減された。アクチュエーターはロボットの「関節」にあたる部品で、その精度とコストが量産化の可否を左右する。
三花智控は、精度と耐久性で国際水準に達した線形アクチュエーターの開発に成功。2025年上半期の決算では、ロボット関連事業の売上が前年同期比320%増、粗利率35%超を記録している。
テスラの試算によれば、Optimusの単価が2万ドル以下に抑えられれば、市場規模は100万台を突破し、売上は1,000億ドル規模に達する見通しだ。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はさらに、ロボットをスマートフォンのように家庭、医療、物流などあらゆる領域に普及させる目標を掲げて開発を進めている。
こうした動きに合わせ、中国メーカーのヒューマノイドロボット関連部品の開発を強化している。減速器大手の緑的諧波もアクチュエータの生産拡大を進めており、26年には年産50万台体制を確立予定。サーボモーター分野では、匯川技術や埃斯頓自動化(ESTUN)などが高精度製品を展開している。
AIチップも中国台頭
Optimusの中枢はAIチップだ。AIシステムは環境認識・運動制御・意思決定の3領域を処理する。特に環境認識では、高精度カメラやミリ波レーダー、高性能センサー「LiDER(ライダー)」を組み合わせた多センサー融合を採用し、膨大なデータをリアルタイム処理するため高い演算性能が求められる。
テスラは自社開発のスーパーコンピュータ「Dojo」と米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)のGPU(画像処理半導体)を基盤にしているが、中国のAI(人工知能)チップ開発大手の中科寒武紀科技(カンブリコン、北京市)や自動運転向けAI(人工知能)チップを開発する地平線機器人(Horizon Robotics、北京市)も視覚認識分野で台頭している。
寒武紀の新型チップ「MLU370-X8」は、NVIDIA製品と同等性能で消費電力15%削減を実現し、将来的な代替候補として注目される。



