米OpenAIのアルトマンCEO、鴻海とTSMCを極秘訪問か

米AI(人工知能)企業、OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が9月30日、台湾を訪れ、電子機器受託製造サービス(EMS)世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業と半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)の幹部と極秘に会談したとの情報が浮上している。
台湾経済日報などが伝えた。鴻海とは米国のAI大規模インフラ計画「スターゲイト(Stargate)」に関する協力の詳細を、TSMCとは自社開発AIチップの製造について協議したとされる。これに対し、TSMCも鴻海もコメントを控えている。
「スターゲイト」は米政府が推進するAI向け大規模データセンター計画で、OpenAIがその中核を担う。鴻海は最大のAIサーバー供給業者であり、アルトマン氏の訪問は具体的な供給能力や計画の調整を目的としていたという。
計画では米国内に5カ所の新データセンターを建設予定で、このうち3カ所は業務用ソフトウエアの米Oracle(オラクル)と共同開発される。オラクル向けのAIサーバーは鴻海が主要供給元であり、サーバー供給の安定確保が必須とされる。残り2カ所は日本のソフトバンクと共同開発する予定で、18カ月以内の完成を目指す。
一方、OpenAIは自社開発AIチップの取り組みも加速させている。以前には米半導体大手・Broadcom(ブロードコム)がカスタムASIC(特定用途向け集積回路)設計を担い、TSMCでの製造を通じて26年の量産を目指すとの情報が報じられている。さらに、米Google(グーグル)の親会社Alphabet(アルファベット)でAIチップ設計を手掛けた数十人規模の技術者を採用し、自社チップ開発チームを強化しているとも伝えられている。
サプライチェーン関係者によれば、OpenAIの自社チップ製造には多額の費用と時間がかかる。設計をファウンドリーに送るだけで数千万米ドル、製造には約半年を要し、もし不具合があれば再製造が必要となる。すでにOpenAIは初期段階をクリアし、推論モデル向けのチップを限定的に配備しているが、トレーニングモデルには未対応。量産段階に入ることで、演算性能の大幅な向上が期待される。



