米エヌビディア、TSMCにGPU「H20」30万枚を追加発注か

中国市場の需要拡大受け

米ロイター通信の報道によると、米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は先週、半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)に対し、AI(人工知能)向けGPU(画像処理半導体)「H20」を30万枚追加発注したという。関係筋2人のうち1人は、この動きが中国市場における旺盛な需要に対応するものであり、エヌビディアが既存在庫への依存を見直した結果だと明かしている。

H20は、米国政府が2023年末に他のAIチップの対中輸出を規制したことを受け、エヌビディアが中国専用に開発した製品で、同社の先端GPU「H100」や最新の「Blackwell」シリーズに比べて処理性能が抑えられている。

しかし、今月に入り、トランプ前政権時代の対中輸出規制の一部が見直され、エヌビディアはH20の中国向け販売を再開することが可能になった。これにより、同社は約60万~70万枚のH20在庫に加えて、TSMCに30万枚の新規注文を行う運びとなったという。

エヌビディアのJen-Hsun Huang(ジェンスン・ファン)最高経営責任者(CEO)は今月初めに北京を訪問した際、H20の受注状況が生産再開の可否を決める鍵になると発言し、仮に再開する場合でも供給網の再構築には約9カ月を要すると述べていた。

だが、同氏の訪中後、一部報道では、エヌビディアが顧客に対し「H20の在庫には限りがあり、現時点で新たな生産再開の計画はない」と伝えたとも報じられている。同社がH20を中国へ輸出するには、米政府の輸出許可が必要だが、7月中旬に当局から「まもなく許可を出す」との見通しが示されたという。

さらに、関係者によれば、エヌビディアはH20の購入を希望する中国企業に対し、新たな発注書類の提出を求めており、そこには具体的な注文数量の予測も含まれているという。

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