世界のファウンドリーの収益、中国本土企業がいち早く回復
市場調査会社Counterpoint Researchによると、2024年第2四半期(4〜6月)の世界のファウンドリー(半導体の受託製造)産業の収益は、主に旺盛なAI需要により、前四半期比で約9%、前年同期比で約23%増加した。このうち、中国本土のファウンドリーおよび半導体市場が、世界の同業他社よりも早く回復した。
中芯国際集成電路製造(SMIC、上海市)と華虹半導体(上海市)など中国本土のファウンドリーは、中国本土のファブレス顧客が世界の同業他社よりも早く在庫調整段階に入り、早く底を打ったことから、いずれも好調な四半期決算となった。
SMICの2024年第2四半期の売上高は前年同期比21.8%増の19億130万米ドル(約2788億8268万円)だった。前四半期比は8.6%増。純利益は1億6500万米ドルで前四半期比129.2%増、前年同期比59.1%減となり、市場予想を上回った。このうち、8インチウエハーの出荷枚数は前四半期比18%増の211万枚を超え、製品構成の変化による平均販売単価は前四半期比8%下落した。CIS、PMIC、IoT、TDDI、LDDICアプリケーションを含む中国需要の継続的な回復が牽引した。
華虹半導体の今年第2四半期の売上高は前年同期比24.2%増の4億7900万米ドル、上場会社の株主に帰属する純利益は667万米ドル。このうち、売上高の94.7%は半導体ウエハーの直接販売によるもので、前年同期比24.6%増の4億5000万米ドルに達した。
TSMCの2024年第2四半期の売上高は予想をわずかに上回ったが、依然としてトップシェアを維持している。TSMCはさらに年間売上高の伸び幅予想を従来の20%台前半から20%台半ばに引き上げ、AIアクセラレーターの需給バランスは25年末または26年初めまでタイトな状態が続くと予想している。同社はまた、AIに対する旺盛な顧客需要に対応するため、25年にCoWoS(TSMCが開発したチップ実装技術)の生産能力を再び少なくとも2倍に引き上げる計画だ。
今年第2四半期の世界のチップファウンドリー業界で、台湾積体電路製造(TSMC、台積電)の売上高のシェアは62%で1位、韓国サムスン電子が13%、SMICと台湾の聯華電子(UMC)はともにシェア6%で3位タイ、米GlobalFoundries(グローバルファンドリーズ)は5%、華虹半導体は2%だった。
Counterpoint Researchのアナリストは、「世界のファウンドリー業界は2024年第2四半期に回復力を示し、その成長の多くは力強いAI需要とスマートフォンの在庫補充に牽引された。需要の回復は半導体業界全体で不均一に進んでいる。AI半導体のような最先端アプリケーションが力強い伸びを示す一方、伝統的半導体は回復ペースが遅い。中国本土のファウンドリーは、早期の在庫調整と現地のファブレス顧客による補充の増加により、回復が早まっている。 対照的に、中国本土以外のファウンドリーは回復がより遅い」と分析した。