LiDAR業界に早くも淘汰の波、強まる「値下げ」圧力

Autonomous self-driving electric car showing Lidar and Safety sensors use, Left-hand traffic,3d rendering.

中国の高性能センサー「LiDAR」業界が早くも淘汰(とうた)の波にさらされている。自動車市場での価格競争の激化で、部品サプライヤーに対して値下げを求める完成車メーカーの圧力が強まっているためだ。LiDARも例外ではなく、メーカーは市場シェアを維持するために利益を犠牲にするか、市場からの退場を余儀なくされるかの二択を迫られている。

LiDAR大手の深セン市速騰聚創科技(広東省深セン市、Robosense)の邱純潮最高経営責任者(CEO)は以前に、「15万元(約322万円)の自動車に対して、仮に4%のコストでスマート機能を搭載するとすれば、LiDARを6,000元で提供しなければならない」と試算。「価格戦に応じられなければ、淘汰されるしかない」と過酷な現状に危機感をあらわにした。

Robosenseは、4月末の北京モーターショー開催直前に次世代の中距離LiDAR「MX」を発表し、原価を200米ドル(約3万円)以下に抑える方針を明らかにした。すでに大規模な出荷を行っている「M」シリーズと比べると、MXの価格はほぼ半分の水準に下がる見通しだ。

また、華為(ファーウェイ)の徐直軍輪番会長は4月、「自社開発を進めるLiDARのコストを将来的に200米ドルに削減し、コスト問題を解決する」と述べた。

業界関係者によれば、原価200米ドルは、LiDARを量産モデルに本格搭載するかどうかを判断するための完成車メーカーにとっての指標になっているという。

中国の新エネルギー車(NEV)市場は、価格20万元以下のモデルがシェアの大部分を占めており、特に15万~20万元車の販売比率が年を追って上昇している。中国汽車工業協会によると、20万元以下の新エネ乗用車の販売比率は21年の73.1~24年の75.6%に拡大し、うち15万~20万元車は15.3→19.3%と増勢が突出した。LiDARメーカーが大口契約を獲得するには、20万元以下の新エネ車市場の攻略が欠かせない。

さらに完成車メーカーの間で自動運転向けセンサーとして、高コストのLiDARではなくカメラを採用する動きがみられることも、LiDARにとっての逆風だ。華為は新型EVセダン「智界(Luxeed)S7」のスマートシステムにカメラを初採用。蔚来汽車(NIO)もセカンドEVブランド「楽道」に、LiDARではなくカメラを採用した。

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