中国が蓄電産業の発展推進、25年に30GW超へ
BYDは新型蓄電システム発売へ
中国政府が蓄電産業の育成・発展に注力する姿勢を鮮明に打ち出している。国家発展改革委員会と国家能源局が4月21日に公表した蓄エネ推進のガイドライン「新型蓄エネルギー発展加速に関する指導意見(意見募集稿)」で、蓄電産業における国レベルの成長目標を初めて示した。
ガイドラインの草案は、「新型蓄エネ産業の規模を設備容量ベースで2025年に30ギガワット(GW)以上に到達させ、30年に同産業の全面的な市場化を実現する」との目標を提示した。20年末に3.28GWだった産業規模を向こう5年で10倍に増やすことになり、年間成長率は55%を超える。
地方政府も続々と独自政策を発表しており、すでに18省・直轄市・自治区が蓄電事業関連の奨励策や目標値を定めた。湖南、湖北、内モンゴル、山東、山西、河北、貴州などは蓄電設備の設置比率を5~10%に規定。遼寧、河南などは新エネ事業の審査において、蓄電システムの設置有無を優先評価項目に定めた。
トータルエネルギーソリューションをグローバルに提供している電池大手の比亜迪(BYD)は08年から蓄電池および蓄電技術の開発を推進し、脱石炭、再生可能エネルギー導入を進める「エネルギー転換」に貢献するリーディングカンパニーとして存在感を示している。
同社の蓄電技術は、中国国営の電力配送会社である国家電網公司の太陽光発電所や、同じく国営の中国南網公司の揚水式水力発電、中国原発最大手である中国広核集団の災害時向け発電所などのモデル事業で採用され、安全性が実証された。13年以降は、蓄電システムの海外輸出も始め、これまでの世界販売量は1.7ギガワット時(GWh)を超過。「13年間無事故」の記録を保持している。
2022年に、自社開発の車載バッテリー「刀片電池」技術を搭載した新型蓄電システム「CubeK36」を発売予定。同製品は、電池容量密度をコンテナ収納型蓄電池システムの約1.5倍に高めた一方で、設置するのに必要な面積を50%削減した。