スマートフォークリフトの木蟻机器人、約1億元を調達
スマートフォークリフトの上海木蟻机器人科技(MOOE ROBOT)は8日までに、投資会社の藍馳創投や物流大手の徳邦快逓などから約1億元(約16億7,000万円)を資金調達したと発表した。木蟻机器人は、資金をスマートフォークリフトなどの研究開発(R&D)や販路開拓に充てる。8日付投資界が伝えた。
木蟻机器人は2016年に設立。SLAMアルゴリズム(未知の環境で地図を作成する)を得意とする技術者などを抱えており、人工知能(AI)をスマートフォークリフトに搭載し、無人で倉庫内の荷物を移動・運搬するシステムの開発などを手掛けている。百台規模のスマートフォークリフトを同時に制御できる「SLAM百台集群調度控制御システム」の開発にも成功している。
中国では近年、電子商取引(EC)の成長によって各種物品や生鮮食品の物流需要が激増する一方で、倉庫内で運搬ミスが頻発するなど低い物流効率にとどまっているほか、劣悪の環境のため作業員が十分に確保できないなど課題が山積している。無人運転化の浸透率も約3%と極めて低い。そのため、向こう3年で国内のスマートフォークリフトの需要は数百億元規模に達すると見込まれている。
木蟻机器人のシステムはこれまでに10余りの物流センターに導入され、同社の昨年の売上高は前年比4倍となった。また、徳邦快逓のほか、スイス食品大手ネスレの物流を担っている全盛物流、中国商飛など物流トップ企業から高評価を得ている。徳邦快逓の広東省にある中核倉庫は木蟻机器人のスマートフォークリフトを100台ほど導入したところ、人件費が半減したほか、最終的なコストも40%近く下がったという。
木蟻机器人の銭莫天・最高経営責任者(CEO)は「18年から無人フォークリフトプロジェクトを開始。製品力を高め、市場占有率を拡大している。最終的には人に運搬させない完全なスマート物流倉庫を実現したい」と話した。