中国で車載電池の生産能力が構造的過剰に、中堅以下は淘汰の危機

中国で電気自動車(EV)の心臓部である車載電池の市場が、供給過剰の問題に直面している。ハイエンド製品が不足する一方で、ローエンド製品の在庫が積み上がるという構造的な供給過剰に陥っており、大手を除く中堅以下の企業が淘汰のリスクにさらされている。

中国の研究機関のEVTankがまとめたリポートによると、中国の車載電池の在庫は、電池メーカーやEVメーカーを含めたフルサプライチェーンにおいて、2022年に過去最高の164.8ギガワット時(GWh)に達した。今年も供給過剰の状態が続いており、中国汽車動力電池産業創新連盟の統計によれば、今年1~5月の車載電池生産量は、車両搭載量の2倍に達した。

高工産研リ電研究所(GGII)によると、20年から23年5月までの中国でのリチウムイオン電池関連の投資プロジェクトの総数は776件を超え、このうち5分の1に当たる163件が数百億の投資プロジェクトだった。車載電池プロジェクト総数に占める数百億規模のリチウムイオン電池投資プロジェクトの割合は年々増加し、23年1月〜5月では28%に達したという。

自動車メーカーからも、車載電池が供給過剰になっていることに対する懸念を表明する声も出ている。中国財豊網によると、中国国有自動車大手、重慶長安汽車(重慶市)の朱華栄・董事長(会長)は8日に重慶市で開かれた自動車産業のシンポジウムで、「コア材料の不足と電池の高騰で急速に生産能力は過剰になるだろう」と指摘。車載電池に対する中国EV業界の需要は25年に約1,000〜1,200GWhが予想されているのに対し、足元で計画されている新規生産能力は4,800GWhに達し、深刻な過剰生産能力に陥ると予想した。

■海外市場に活路も

21日付新京報によると、真リ(金へんに里、以下同じ)研究の墨柯チーフアナリストは、生産能力過剰の解消策として、海外市場の開拓や、蓄電システム市場の活用を進めて新規需要を創出する方法と、企業間競争の激化、市場の集約化を背景とした一部企業の淘汰を通じて生産能力を削減する方法の2点を挙げた。

需要の創出面では、中国の電池メーカーの多くが海外進出を計画している。車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)はドイツとハンガリーに工場を建設。自動車大手の比亜迪(BYD)もハンガリーに車載電池工場を設けた。電池大手の国軒高科(ゴーション・ハイテク)は、ドイツ、インド、米国に工場を置く。このほか、遠景動力、孚能科技、億緯リ能、中創新航、蜂巣能源などが海外進出計画を立てた。

2022年の中国の車載電池輸出量は68.1GWhで、同年の生産量の12.47%を占めた。

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