米中経済・貿易協議の成果を公表、「300億ドル対300億ドル」の相互関税引き下げで合意

中国商務部は28日、第8回米中経済・貿易協議の成果について説明した。両国は、約300億ドル(約4兆7310億円)相当の輸入品を対象に、相互に関税を引き下げる枠組みで合意した。対象品目の約90%について、最恵国待遇(MFN)税率まで引き下げる方針だ。

この措置は、米中首脳会談で確認された重要な共通認識を実行に移すもの。両国がそれぞれ国内法に基づく手続きを終えた後、同時に関税引き下げを実施する。具体的な内容については、今後公表する。

中国商務部は、今回の合意が米中の経済・貿易関係の安定に寄与し、中国製品の対米輸出にとってより良好な環境を整えるとの見方を示した。

中国商務部の米州・豪州局責任者による説明の全文は以下の通り。

1.貿易理事会の設立

協議の結果、米中両国は経済・貿易協議メカニズムの下に、米中貿易理事会を設立することで合意した。同理事会は、二国間貿易の改善を主な任務とする。

両国の経済・貿易チームは、理事会の任務、組織構成、権限、協議の方式などについて合意しており、詳細は今後公表する。

貿易理事会はまず、「300億ドル対300億ドル」の相互関税引き下げの枠組みについて協議し、合意形成を目指す。理事会の下には農業作業部会を設置するほか、二国間貿易を改善するその他の措置についても検討する。

貿易理事会は、米中両国が経済・貿易分野で協力項目を増やし、問題項目を減らしていくための重要な協議の場となる。両国の経済・貿易関係を継続的に安定・改善させるための制度的基盤としての役割が期待される。

2.「300億ドル対300億ドル」の相互関税引き下げ

米中両国は、首脳会談で確認された重要な共通認識を実施するため、相互尊重と平等な協議を前提に、貿易理事会の枠組みの下で、約300億ドル相当の輸入品を対象とした相互関税引き下げについて複数回にわたり協議し、合意に達した。

両国は、相手国から輸入する約300億ドル相当の製品について、対等な形で関税を引き下げる。対象品目のうち、それぞれ約90%について、最恵国待遇(MFN)税率まで引き下げる。

両国は、それぞれの国内法に基づく手続きを完了した後、関税引き下げ措置を同時に実施する。具体的な内容は今後公表する。

今回の措置は、米中の経済・貿易関係の安定に寄与し、中国関連製品の対米輸出により良好な条件を整えるものとなる。

3.石炭貿易の拡大

米中両国の経済・貿易チームは、中国が米国から輸入する石炭に対する関税を、「300億ドル対300億ドル」の相互関税引き下げの枠組みに含めることで合意した。

これにより、中国は2027年と2028年に、毎年米国から石炭を輸入できるようになる。米国産石炭の輸入は、中国国内の石炭市場を補完するだけでなく、米国の石炭産業に安定した収入と雇用をもたらすことにもつながる。米中の二国間貿易の安定と拡大にも寄与するとみられる。

両国が共同で努力し、石炭分野における協力を一段と深め、互恵的な成果を実現することが期待される。

4.米中投資理事会の設立

米中両国は、経済・貿易協議メカニズムの下に、米中投資理事会を設立することで合意した。

同理事会は、両国の投資分野における制度化された意思疎通の場となる。両国の経済・貿易チームは、潜在的な投資機会や投資上の障壁を巡って定期的に協議する。

また、両国それぞれの法令と監督要件を順守することを前提に、政策の透明性と予見可能性を高め、企業が抱える合理的な懸念に対応する。

5.農業作業部会の設置

今年5月、米中両国の経済・貿易チームは、一部の農産品に関する非関税障壁や市場アクセス問題の解決に向け、複数の前向きな共通認識を形成した。両国は原則として、関連製品を「300億ドル対300億ドル」の相互関税引き下げの枠組みに含めることで合意していた。

その後、両国の経済・貿易チームは農業分野を巡って、専門的かつ実務的な協議を進めてきた。

今回、両国は米中貿易理事会の下に農業作業部会を設置することで合意した。作業部会は中国商務部と米国通商代表部が共同で主導し、両国の関係監督機関も参加する。

作業部会では、農産品の相互市場アクセスや監督・規制などについて協議する。両国は2026年末までに第1回会合を開催することで合意した。

中国側は、作業部会を通じて、農業分野に関する中国側の懸念の解消を米国側に引き続き求めていく。

6.金融サービス

近年、中国は自主的に金融サービス分野の対外開放を拡大しており、国際社会から評価を受けている。多くの米国系金融機関も、その恩恵を受けている。

今回の協議では、金融サービス分野について原則的な共通認識を形成した。

中国側は、法令と規則に基づき、米国系を含む各国の金融サービス機関による中国での事業展開や支店設立の申請を審査・承認する。

中国側は、米国側に対しても、中国系金融機関に公平で透明性が高く、安定した政策環境を提供するよう求めている。

7.米中AI対話

今回の協議で、両国は米中経済・貿易協議メカニズムの下に、人工知能(AI)に関する対話を設けることで合意した。

中国側は何立峰副首相、米国側はベッセント財務長官をそれぞれの責任者とし、すでに第1回の対話を実施した。双方はAIに関連するリスクと便益について意見を交換した。

両国は、今年11月末までに次回の対話を開催することで合意した。また、AIに関するインシデントについて、両国間の意思疎通ルートを構築することでも一致した。

8.クアラルンプール経済・貿易協議の共同措置を延長

2025年10月、米中両国はクアラルンプールで、それぞれの懸念事項に対応するための経済・貿易上の共同措置に合意した。この措置により、両国が講じた一部の関税・非関税措置の実施は、2026年11月10日まで停止されている。

今回の協議で、両国はこの共同措置を2027年1月10日まで延長することを前提に、引き続き積極的に協議し、双方が受け入れ可能な解決策を探ることで合意した。

この措置により、両国は共同措置の履行状況をそれぞれ確認・評価し、米中の経済・貿易関係を今後どのように進めるかを検討する時間を確保できる。

また、一定期間の延長と継続的な協議を組み合わせることで、両国企業に比較的安定した予見可能な政策環境を提供できる。

両国が引き続き努力し、年末までに予定されるハイレベルの経済・貿易協議を通じて、さらなる延長に向けた前向きな解決策を見いだすことが期待される。

9.米中直行便の増便

米中間の旅客便は、両国の人的交流、文化交流、経済・貿易協力を促進するうえで重要な役割を果たしている。

今回の協議で、両国は直行旅客便の増便について意見を交換した。双方は、米中間の航空便の増便および関連事項について、引き続き意思疎通を維持することで合意した。

10.過去の協議で得られた共通認識の実行

昨年以来、米中両国は8回にわたり経済・貿易協議を実施してきた。二国間の貿易・投資の促進など、双方が関心を持つ重要な経済・貿易問題を巡り、互恵的、均衡の取れた、前向きな成果を積み重ねてきた。

これにより、両国の経済・貿易関係全体の安定が維持されている。

今回の協議で、米中両国は、これまでの経済・貿易協議で形成された共通認識を引き続き着実に実行することを改めて確認し、約束した。

これは、両国の経済・貿易協力に有利な条件と安定した環境を整えるだけでなく、世界経済の発展を促進するうえでも重要な意義を持つ。

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