トランプ氏、中国自動車メーカーの米国工場建設を容認発言

トランプ大統領は現地時間11日、FOXニュースのインタビューで、米国の議員や国内自動車メーカーが総じて反対しているにもかかわらず、中国の自動車メーカーが米国内に工場を建設し、自動車を生産することについて「反対しない」と述べた。さらに、中国企業がメキシコに工場を建設し、完成車を米国へ輸出することで「迂回して米国市場に参入する」ことは望んでいないと明確に線引きした。

この発言は、米国の政界と自動車業界で直ちに注目を集めた。2週間後には、米中両国の首脳がワシントンで会談する予定であり、自動車市場への参入が協議事項の一つとなるかどうかに関心が集まっている。

少し前には、ミシガン州選出の民主党上院議員、エリッサ・スロットキン氏が、トランプ氏がより大きな合意の一環として中国車の米国販売を認める計画だとのうわさがあると公言していた。スロットキン氏は、実現すれば「戦略的な誤り」になると主張した。

これに対しトランプ氏は直ちに否定し、「完全な偽情報だ」と反論した。そのうえで、自身が中国車を米国市場から締め出していると強調していた。

ただ実際、現在の政策枠組みの下で、中国自動車メーカーが米国市場に参入することは容易ではないとみられる。

バイデン政権は2025年初め、中国企業が米国で乗用車を販売・生産することを実質的に禁止する規則を導入した。また、米国は中国製電気自動車(EV)に対して、100%を超える総合関税を維持しており、最高税率は137.5%に達する。これにより、中国製EVは米国市場で価格競争力をほぼ失っている。

米自動車業界に広がる危機感

トランプ氏の融和的な姿勢は、米自動車業界に危機感を広がらせている。

9月3日には、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、ホンダ、ステランティスなど、米国のほぼすべての主要自動車メーカーを代表する米国自動車イノベーション連盟(Alliance for Automotive Innovation)が、米議会上下両院の与野党指導部に書簡を送った。

同連盟は、2027年1月に終了する第119議会の会期中に、中国製コネクテッドカーと関連するソフトウエア・ハードウエアの米国での販売、輸入、製造を恒久的に禁止する法律を成立させるよう求めた。同連盟のジョン・ボゼラ会長は書簡で、中国の自動車メーカーが「コネクテッド機能を備えた補助金付き車両を世界市場に大量投入している」と主張した。

中国メーカーは欧州、東南アジア、メキシコ、南米で事業を拡大している。米国ではまだ同じ状況が起きていないものの、議会が休会に入る前に禁止措置を法律として固定化する必要があると訴えた。

一方、米紙ニューヨーク・タイムズは最近、中国で生産された大型プラグインハイブリッドSUV(多目的スポーツ車)の試乗記事を掲載した。記者は同車を詳しく試乗したうえで高く評価し、次のような核心を突く問いを投げかけた。

フォードの複雑な立場

米国自動車業界のなかでも、フォードの姿勢は特に複雑だ。今年4月、フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)はFOXニュースの番組で、中国自動車メーカーの米国市場参入を認めれば、米国の製造業に「壊滅的な打撃」を与えると強く主張。「われわれは決して彼らを米国に入れてはならない」と述べていた。

しかし、わずか3カ月後、ファーリー氏の発言は変化した。ロイター通信が3人の関係者の話として報じたところによると、ファーリー氏は7月30日に開かれた社内従業員集会で、米国が多くの貿易障壁を設けているにもかかわらず、フォードは今後5~10年の間に中国メーカーが米国市場へ参入する可能性を想定し、準備を進めていると説明した。

その時期については、「10年に近い可能性が高い」と述べたという。フォードのビル・フォード執行会長も7月初めのイベントで、「われわれは中国と正面から競争しなければならない。永遠に彼らを締め出しておけると考えることはできない」と発言している。

米議会、対中自動車法制を加速

現在、米議会では中国車を対象とする複数の法案が急速に進められている。今年7月、上院商業委員会は「2026年コネクテッドカー安全法案」を可決した。同法案は、中国資本の出資比率に15%の上限を設ける内容となっている。下院も同様の内容を盛り込んだ「自動車近代化法案」を可決している。

この時期に米国自動車イノベーション連盟が集中的なロビー活動を展開しているのは、議会の任期が残り数カ月となるなか、バイデン政権時代の行政措置による禁止を恒久的な法律へ格上げすることを目指しているためだ。

将来の政権交代によって政策が覆されることを防ぐ狙いがある。中国自動車メーカーにとって、米国での工場建設は巨額の投資と複雑なサプライチェーンの再構築を伴う。しかし、現在の米国の政治環境では、工場を完成させたとしても、その製品の販売が議会による恒久的な禁止措置の対象となる可能性が残る。

米国市場への本格参入を目指す中国メーカーにとって、最大の課題は工場を建設できるかどうかだけではない。生産後の販売を法的に保障できるのか、そして米国の政治リスクをどこまで織り込めるのかが、より重要な判断材料となっている。

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