TSMCが対米投資2500億ドルに拡大、米台の関税引き下げ合意受け

半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)は、米国と台湾が15日に署名した貿易協定を受け、米国での投資規模を総額2500億ドル(約39兆6300億円)に拡大する。関税引き下げを通じて米国の半導体生産を促進することが狙いで、重要産業の米国内回帰を進めるトランプ政権の方針に沿う形となる。

TSMCは、アリゾナ州に形成している産業クラスター内で新たに複数の工場を建設する計画だ。これは同社の対米投資計画の一環であり、これと引き換えに米国は台湾製品への関税を20%から15%に引き下げ、TSMCのように米国への投資を拡大する半導体企業を関税の一部適用から免除する。

TSMCを軸とする今回の合意は、米国が欧州連合(EU)や日本を含む貿易相手国と結んできた協定を補完するものでもある。トランプ政権は、経済への悪影響を抑えつつ、米国内への投資流入を確保するため、関税を巡る緊張緩和を進めている。

先端半導体分野で圧倒的な存在感を持つTSMCは、現代経済を支える最先端チップの生産を事実上独占している。これらの半導体は、エヌビディアやアップルなど、AIモデルの学習向けデータセンター構築や消費者向け製品の展開を進める企業にとって不可欠だ。

TSMCは、2022年制定の米国「CHIPS法」に基づき数十億ドル規模の補助金を受けており、直近の拡張後には、アリゾナ州で先端製造能力を含む約十数カ所の工場を保有する見通しだ。これにより、台湾域外でも大規模な事業基盤を確立する。

TSMCの動きについて、米国のハワード・ラトニック商務長官は「すべての技術を米国内に移転し、半導体製造能力の自給自足を実現する」と述べている。

またTSMCは、貿易協定に基づき、アリゾナ州にある同社の工業団地に類似した産業パークの建設を台湾政府が支援することを明らかにした。同社は最近、地場の台湾事業拡大に向けて900エーカーの土地を取得している。

TSMCは15日、2026年の設備投資額として最大560億ドルを計画していると発表し、同社の半導体に対する市場需要が今後も高水準で推移するとの見方を示した。

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