オランダ政府、Nexperiaの経営権を聞泰科技に返還を宣言

パワー半導体供給回復へ

オランダ政府は19日、中国電子機器大手の聞泰科技(WINGTECH、湖北省黄石市)のオランダの完全子会社で半導体メーカー、Nexperia(安世半導体、ネクスペリア)への介入を停止し、その経営権を中国の親会社である聞泰科技に返還すると発表した。これにより、中国との間で高まっていた緊張は和らぎ、すでに世界の自動車生産に影響を及ぼしていた対立に大きな転機が訪れたことになる。

オランダ経済・気候政策相のVincent Karremans(ヴィンセント・カレマンス)氏は同日、SNSのXでこれまでオランダ政府にNexperiaの意思決定を阻止または修正する権限を与えていた措置を撤回したと発表し、これを「善意の表明」と位置付けた。

先に報じられたところによれば、Nexperiaの中国工場がチップ製品を出荷・輸出したことが確認できれば、オランダ側は介入停止に踏み切る準備があるとしていた。今回の決定は、両国間の対立が大きく緩和したことを示すものとなっている。

カレマンス氏は9月下旬、冷戦時代の法律を援用し、オランダ企業であるNexperiaの決定権を政府が掌握しようとした。これに対し中国政府は報復措置として、Nexperiaの広東省の東莞工場に対する部材の輸出規制を発動した。

Nexperiaは車載用パワー半導体の世界的リーダーで、車載向けの売上比率は約60%に達し、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)やBMWなど主要自動車メーカーが顧客に名を連ねている。

特に、広東省東莞市の後工程工場は年間500億個超の半導体デバイスを生産し、Nexperia全体の封止工程の80%を担う。同工場では、欧州製のウエハーを用いて半導体を組み立てている。この中核的生産能力の揺らぎは、世界の自動車向け半導体供給に即座に影響を及ぼし、ホンダや日産なども完成車の減産措置を取っていた。

オランダ政府が姿勢を転換した背景には、中欧双方の担当者による協議が進展し、ドイツ、欧州連合(EU)、米国もこれに関与したことがある。対立解消に向け、中国側もNexperia中国工場からの輸出規制の緩和に同意した。オランダ経済省は今週、代表団を北京に派遣し、「双方が受け入れ可能な解決策」を巡る最終協議を進めていた。

Update on invoking Goods Availability Act

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