英国、中国企業11社を制裁=中国大使館が反発

英国政府は15日、ロシアへの新たな制裁リストを発表した。今回の対象にはエネルギー、金融分野の企業に加え、いわゆる「軍民両用物資のサプライチェーン」に関わる組織も含まれ、中国本土および香港の企業11社もリスト入りした。中には港湾運営機関も含まれている。
同日深夜、駐英中国大使館は直ちに声明を発表し、「英国の行動には国際法上の根拠がない。中国の利益を損なういかなる行為に対しても、断固として反撃する」と強く反発した。
英国側は「ロシアの戦時能力を抑制するため」との名目で制裁範囲を拡大。一方の中国側は、極めて強い言葉で真正面から対抗姿勢を示した。今回の動きが中英関係の新たな亀裂となるのか、それとも制裁の常態化の中での一時的な衝突にすぎないのかが注目されている。
今回の英国の制裁は突発的なものではない。法的根拠として用いられたのは、2019年に制定された「ロシア制裁(EU離脱後)条例」。今回追加された制裁対象には、エネルギー大手、ロシア産石油・ガスを運ぶ船舶、ロシア軍需産業に電子部品を供給する第三国企業などが含まれ、さらに中国・山東省の石油化学企業や港湾運営会社、香港登録の商社、電子部品の流通業者なども名指しされた。英国政府の狙いはサプライチェーン全体を遮断することにあるとみられる。
英国財務省傘下の制裁執行機関(OFSI)が公表した最新報告によれば、2025年5月時点で英国が凍結しているロシア関連資産は286億8,000万ポンドに達し、同年だけで191件の新規制裁を追加したという。ロシアへの圧力を強める狙いが明確である一方で、第三国企業との摩擦リスクはかつてなく高まっているとしている。



