米OpenAI、ブロードコムと自社開発AIチップを量産へ=米紙報道

米フィナンシャル・タイムズの報道によると、米AI(人工知能)大手のOpenAIは米半導体大手・Broadcom(ブロードコム)と大規模な協力体制を構築し、自社開発のAIチップを量産化する計画だという。
昨年10月にはロイター通信が、OpenAIがブロードコムや半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)と組み、初の自社製AIチップ開発を進めていると報じていた。また、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)製GPU(画像処理半導体)への依存を緩和するため、Advanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)製チップの導入も進めているという。
さらにロイター通信の今年2月報道によると、OpenAIは自社開発チップをサプライヤーとの交渉力を強化する「戦略的武器」と位置づけていると指摘。第1弾のチップはAIの大規模言語モデル(LLM)の学習を主眼とし、今後はより高性能なプロセッサーの開発に段階的に取り組む見込みだ。
この戦略はNVIDIA依存度の低減だけでなく、AIハードウェア分野における新たな収益源の開拓にもつながる可能性がある。現在、NVIDIAはAIチップ市場の約8割を握り、そのGPUはOpenAI、Google、Metaなど大手のAI学習基盤に広く利用されている。
ただし、自社チップ開発は容易ではない。米Microsoft(マイクロソフト)やMeta(メタ)も長年にわたり巨額を投じて取り組んできたが、満足のいく成果を上げられていない。OpenAIの設計チームは、Google(グーグル)出身のRichard Ho氏が率いており、すでに規模は倍増して40人以上となった。ブロードコムなどの大手メーカーとの連携も進んでいるが、GoogleやAmazon(アマゾン)のような巨大開発チームに比べるとまだ小規模にとどまる。
業界関係者によれば、大規模なチップ設計プロジェクトでは単一バージョンのコストだけで5億米ドル(約740億元)に達し、関連ソフトウェアや周辺機器を含めればさらに倍増する可能性があるという。



