「4680電池」競争、韓国LGエナジーが年内に量産実現か

韓国電池メーカーのLGエナジーソリューションが、今年12月から韓国オチャンの工場で円筒型の高容量新型リチウムイオン電池(LiB)「4680」(直径46ミリメートル(mm)、長さ80mmの4680電池)の量産化を世界で初めて開始するもようだ。LGエナジーソリューションの関係者は、「もし大量生産が現実になれば、世界の電池開発競争で同社がゲームチェンジャーとなる」と自信を示した。

LGエナジーソリューションのKim Dong-myung(キム・ドンミョン)最高経営責任者(CEO)は今年初め、「早ければ今年8月にも米電気自動車(EV)大手のTesla(テスラ)が使用する大型の円筒型電池の量産を開始する予定だ」と述べていた。現在は、量産開始は当初の計画より4カ月遅い12月になる見込みだとしている。成功すれば、LGエナジーソリューションが世界初の企業となり、生産した4680電池をテスラやその他の顧客に供給する計画だ。

4680電池は従来の「2170電池」と比べ、エネルギー密度が5倍、出力が6倍、EV走行距離が少なくとも20%向上するとされている。多くのEVメーカーにとっては、ソフトパックと角型が一般的な電池タイプだが、独BMW、米ゼネラルモーターズ(GM)、ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツと多国籍大手自動車メーカー、Stellantis(ステランティス)など多くの自動車メーカーが、その利点を考慮して4680電池に移行している。

テスラもEVに使用するために4680電池の開発に取り組んでいるが、製品の歩留まりが低いなど技術的な問題を抱えているとされる。

その他、世界の電池メーカー大手である寧徳時代(CATL)や比亜迪(BYD)、韓国サムスンSDI、SKオン、日本のパナソニックがいずれも市場をリードしようと量産化実現に向けて開発に取り組んでいる。

サムスンSDIは2025年から4680電池の量産を開始する計画で、当初の計画である26年より1年早くなる予定だ。同社は現在、スマートフォンやその他の小型電子機器向けに2170と1865の円筒形電池を生産している。

同じく韓国の電池メーカー、SKオンは、独自の4680電池を開発するため、最高経営責任者(CEO)直轄のワーキンググループを運営している。

パナソニックは以前、24年中に4680電池の生産を開始すると発表していたが、現在は25年を量産開始の年としている。

低価格のリン酸鉄リチウム(LPF)電池で知られる中国のCATLも4680電池の開発に取り組んでいるが、技術的な課題に直面しており、量産化にはライバル企業よりも時間がかかる可能性があると業界関係者は指摘する。

■スーパーシングルセルの量産化

4680電池は、既存の従来型電池よりも効率が高く、安全で安価なため、しばしば「スーパー・シングルセル・バッテリー」と呼ばれる。セルの重量は、同等のソフトパックや角型セルの70%から80%しかないが、エネルギー密度は同じであるため、航続距離が長くなる。また別モジュールを必要としないため、バッテリー・マネジメント・システム(BMS)がシンプルになり、安全性も向上する。

しかし、愛集微によると、業界関係者は「正極、負極、電解質、セパレーターといった主要部品を含む円筒形電池を作るのは難題だ」と指摘。EVが4680電池を完全に実用化するには少なくとも10年はかかるという。

業界関係者は、「韓国の電池メーカーが新世代電池の開発で主導権を握れば、中国製の角形電池を大量に使用しているBMWやメルセデス・ベンツなどの自動車を引きつける上で大きなアドバンテージとなる 」と語っている

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