トランプ氏再選なら中国「関税の津波」直面も、すでに万全の備え
今年月の米大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領の再選を予測する向きが強まる中、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは日、「もしトランプ氏がホワイトハウスにカムバックすれば、中国は“関税の津波”に直面する可能性があるが、中国の政界・ビジネス界は最悪な状況に対応するための万全の態勢が備わっている」とする専門家の見方を報じた。
米東部ペンシルベニア州バトラーで13日起きたトランプ前大統領の暗殺未遂事件の大統領選への影響はなお見守る必要があるが、短期的にはトランプ氏に有利に働いている。トランプ氏は銃撃事件の翌日、共和党の全国党大会で大統領候補に正式に指名された。
トランプ氏は今年の選挙活動で、自身が再選した場合は中国からの輸入品に対して一律60%超の関税を課すと標榜している。中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英氏は、「中米間の新たな貿易戦争はおそらく回避不可能」との見方を示す一方で、「トランプ前政権が2018年に中国からの輸入品に最大25%の関税を課した際に、中国は中東や中央アジアなどの新興市場を開拓することで、自国の貿易モデルの再編に着手するとともに、『国内大循環』に重点を置いた新たな成長構造の構築を進めた。中国経済はすでにこの新しい枠組みに適応しており、数年前の状況とは全く異なる」と述べた。
中国への関税引き上げは米国自身にとってもマイナスになる。米国の製造業は中国を含む海外から中間財を輸入する傾向にあるためだ。これらの中間財は代替品に乏しく、対中関税は結果的に米国の製造コストを急増させるリスクにつながる。
英経済誌エコノミストの調査部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のNick Marroアジア部門シニアエコノミストは、トランプ氏が再選し、中国により高い関税が課されれば、中国に対する最恵国待遇、「恒久正常貿易関係(PNTR)」の地位は取り消されると指摘した。
米中貿易全国委員会が2023年11月にオックスフォード・エコノミクスに委託してまとめたリポートによると、米国が中国のPNTRの地位を撤回した場合の経済損失は1兆6,000億米ドル(252兆5,000億円)に上り、かつ70万人超の失業者が出ると予想される。