LGイノテック、車載センシングソリューションを 2030年までに2兆ウォン事業に育成へ
- 今月初めにCEO直属のLiDAR事業組織を新設
- 持分投資・製品高度化・工場増設により車載カメラモジュールの事業力を強化
- 「車載センシングのトータルソリューションプロバイダー」・・・差別化された顧客価値を提供
ソウル(韓国) , 2024年7月4日 /PRNewswire/ — LGイノテック(代表ムン・ヒョクス)は、世界最高水準の光学ソリューション関連源泉技術を未来モビリティ分野に拡大適用し、車載センシングソリューション事業を本格的に始動させている。
ムン・ヒョクス代表は、3月に行われた記者懇談会で、「モバイルカメラモジュール事業で培ってきたLGイノテック独自の”一等ノウハウ”を拡大適用できる未来事業を生み出し、強靭な事業ポートフォリオを構築していきたい」と構想を語っている。
カメラモジュール、LiDAR、レーダーなどからなるAD(自律走行)・ADAS(先進運転支援システム)向けセンシングソリューション事業は、このようなムン代表の経営戦略を最も早く実行できる代表的な分野として挙げられる。
未来自動車の中核分野として台頭している自律走行市場で最も大きなポイントとなるのが、運転者と歩行者の安全だ。走行の妨害となる可能性がある障害物を正確に検知できなければ、大きな事故につながる可能性がある。完成車メーカーが高度化された車載センシングソリューションに注目しているのもそのためだ。
- 今月初めにCEO直属のLiDAR事業組織を新設
LGイノテックは、「高性能LiDAR」を車載センシングソリューション事業の軸に据え、LiDAR市場の攻略を加速している。
特に、LGイノテックは今月初めに、CEO直属の専門担当組織として、LiDAR事業担当を新設した。これにより、これまで光学ソリューション事業部やCTOなどに分散していたLiDARの開発、事業組織が、LiDAR事業担当の傘下に統合された。このような組織改編には、LiDAR事業に自ら関わり、能力を集結させて本格的に始動させたいという、ムン代表の想いが大きく関係している。
LGイノテックは2015年から、LiDAR事業の展開に向けて中核となる能力の強化に取り組んできた。昨年は、アメリカの自律走行スタートアップから、LiDARに関する77件のアメリカ特許を取得している。なお、LGイノテックは、LiDARに関するものだけで約300件の特許を保有している。
- 持分投資・製品高度化・工場増設により車載カメラモジュールの事業力を強化
LiDARとともに、LGイノテックがもう一つの軸に据えているのが、高付加価値の車載カメラモジュール製品群だ。
これまでに商用化された自動車に搭載されたカメラモジュールは、基本的な撮影機能に焦点を当てたもので、付加価値の低い製品がほとんどだ。自律走行時代の到来とともに、車載カメラモジュールについては、運転者の”目”としての役割を果たすことが求められている。より精密で高度化されたセンシング機能を備えた車載カメラモジュールが欠かせなくなってきている。
このようなトレンドに合わせてLGイノテックは、車載カメラモジュールの事業力を強化するため、今年初めに台湾のAOEオプトロニクス(以下、AOE)との間で持分投資契約を締結した。
自律走行車業界では最近、高画素カメラ用の中核部品である「非球面ガラスレンズ」の需要が増えているが、AOEは、この分野に特化した製造技術を保有している。AOEとの緊密な協力に基づき、LGイノテックは、高付加価値の車載カメラモジュールの開発に拍車をかけることが可能となった。
また、LGイノテックは今年2月、極寒期に車載カメラのレンズに付着した霜を速やかに溶かす「高性能ヒーティングカメラモジュール」を公開している。カメラモジュールの大きさはそのままに、ヒーター機能が追加搭載されており、差別化された顧客価値を提供する。
LGイノテックは現在、この製品よりも加熱速度をさらに高めることができる高発熱素材の開発を進めている。LGイノテックは、この素材を採用した超高速ヒーティングカメラモジュールの性能検証を年内に行う予定だ。
それに加え、走行中にレンズに付着した埃などの汚れをすぐに取り除く洗浄機能を搭載したカメラモジュールの開発も進めている。これにより、高付加価値の車載カメラモジュールポートフォリオを継続的に拡大していく考えだ。
車載カメラモジュール市場の先取りに向けた設備投資も活発に行っている。
LGイノテックは、メキシコのサン・フアン・デル・リオにある既存生産法人の近くで、3万坪(約9万9173㎡)規模の敷地を追加で購入し、昨年から工場の増設を進めている。増設された新工場では、来年下半期から車載カメラモジュールの本格的な量産が始まる予定だ。
LGイノテックの関係者は、「メキシコを車載カメラモジュールの生産拠点にしたのは、完成車メーカーが集中している北米地域との地理的な近接性を活かし、顧客対応力をより一層強化するための戦略だ」と説明した。
- 「車載センシングのトータルソリューションプロバイダー」・・・差別化された顧客価値を提供
LGイノテックは今後、クルマの内外を網羅する「車載センシングのトータルソリューションプロバイダー」として、差別化された顧客価値を創出し、AD/ADAS向けセンシングソリューション市場をリードしていくことを目指している。
現在、自律走行車の開発を進めているグローバル完成車メーカーは、それぞれ異なるセンシング部品採用戦略を立てているとされている。
LGイノテックは、車載カメラモジュールのみの採用を希望する顧客に対応するために、車載カメラモジュールの性能高度化を継続的に進めていく予定だ。
それと同時に、車載カメラモジュールとLiDARをソフトウェアでつなぐ「センサフュージョン(Sensor Fusion)」を活用し、さまざまなセンシング部品の採用を検討している顧客の取り込みを積極的に図る考えだ。
さらにLGイノテックは、クルマの外部に搭載されるセンシング部品だけでなく、ビデオ会議、エンターテインメント、ベビーモニタリングなど、クルマの内部でさまざまな用途に活用できる「インキャビン(In-Cabin)車載カメラモジュール」の開発を行い、顧客にセットで提案する考えだ。
ムン代表は、「モバイルカメラモジュール事業から編み出された一等成功の方程式を用いて、車載センシングソリューション事業を2030年までに年商2兆ウォン規模の事業に成長させ、もう一つの一等事業に育て上げたい」と語った。
【参考1】 自律走行車の世界市場規模
グローバル市場調査会社「プレシデンス・リサーチ」によると、世界の自律走行車市場は、2023年に1,583億ドル(約217兆ウォン)で、35%の年平均成長率を記録し、2032年には約2兆3,539億ドル(約3,128兆ウォン)に達すると予測される。
【参考2】 自律走行向けLiDARの世界市場規模
グローバル市場調査会社「ヨール・インテリジェンス(Yole Intelligence)」によると、世界の自律走行向けLiDAR市場は、2025年の21億ドルから2030年には112億ドルへと急速に成長する見通しだ。特に、自律走行のレベルが高くなるほど、LiDARの需要も急速に増加し、2032年には175億ドルに達すると予測される。
【参考3】 車載カメラモジュールの世界市場規模
市場調査会社のS&Pグローバル(S&P Global)やLGイノテックの内部分析によると、世界の車載カメラモジュール市場規模は、自律走行技術の高度化に伴い、2023年の約64億3,700万ドル(8兆6,000億ウォン)から2030年には100億3,000万ドル(13兆4,000億ウォン)へと、年平均7%で成長すると予想されている。