米下院、中国電池6社の製品調達禁止を国土安全保障省に要求
中国問題を集中的に扱う米国下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委員会)」は現地時間7日、米国国土安全保障省(DHS)に対して中国のリチウムイオン電池メーカー6社の製品の購入禁止を求める議案を発表した。
電池の供給で、米国の安全を脅かしかねないとみる「敵対国」への依存を排除することを狙ったもので、バッテリーのサプライチェーン(供給網)から米国の地政学上のライバルを排除することも同時に提案した。中国6社は、寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)、遠景能源科技(エンビジョン・エナジー)、億緯リ(かねへんに里)能、国軒高科、海辰儲能。
中国特別委員会のジョン・ムーレナー委員長は、米国防総省は中国6社の電池調達を禁止しており、DHSもそのようにすべきだ」と述べた。米国で2023年12月に成立した国防権限法(NDAA)案は、米国防総省が中国企業6社から電池製品を調達することを禁じる内容が盛り込まれ、2027年10月に発効する。
米共和党議員グループはこのほど、CATLと国軒高科が少数民族ウイグル族への人権侵害行為に関与しているとして、DHSに対して、同2社が製造する製品の米国への輸入禁止を求める書簡を送付した。その後、CATLと国軒高科は新疆での強制労働関与を否定する声明を発表している。
米国は4年連続で、中国のリチウムイオン電池輸出の最大相手国となった。今年1~4月の米国向け輸出額は39億3400万米ドル(約6180億4700万円)で、前年同期比9.3%減少したものの、中国のリチウムイオン電池輸出全体の22.5%を占めた。
米国は今年5月、中国から輸入されるEV用リチウム電池の関税を従来の7.5%から25%に引き上げた。26年までに車載用に限らずすべての中国製リチウムイオン電池に新関税を適用する。
電池サプリヤーの世界上位10社は、中国企業で7社を占める。国防、安全保障分野におけるサプライチェーンの脱中国化を進めたい米議会のスタンスは一段と鮮明化している。